2025年「高松宮殿下記念世界文化賞」はピーター・ドイグ、マリーナ・アブラモヴィッチら5人が受賞!
世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(公益財団法人 日本美術協会主催)の第36回受賞者が7月15日に発表された。絵画部門にピーター・ドイグ、彫刻部門にマリーナ・アブラモヴィッチが選ばれた。

高松宮殿下記念世界文化賞は、公益財団法人 日本美術協会が1988年に設立。絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で、世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与してきた。過去にはデイヴィッド・ホックニー(1989年)、ゲルハルト・リヒター(1997年)、草間彌生(2006年)、横尾忠則(2015年)、シンディ・シャーマン(2016年)など名だたるアーティストが受賞。昨年の第35回は絵画部門にソフィ・カル、建築部門には坂茂が選ばれている。
第36回となる今年は、絵画部門にピーター・ドイグ、彫刻部門にマリーナ・アブラモヴィッチ、建築部門にエドゥアルド・ソウト・デ・モウラら5部門で5人が選ばれた。
絵画部門:ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグは1959年、スコットランドのエジンバラに生まれ、ロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで学んだ。ロマンティックかつミステリアスな風景を豊かな色彩と独特のタッチで描く絵画作品で知られており、これまでテート(ロンドン)、パリ市立近代美術館、スコットランド国立美術館(エジンバラ)など世界的に知られる美術館で個展を行ってきた。日本では、2020年に東京国立近代美術館で大規模個展「ピーター・ドイグ展」を開催している。
彫刻部門:マリーナ・アブラモヴィッチ
マリーナ・アブラモヴィッチは1946年にユーゴスラビアのベオグラードで生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動する。1970年代からパフォーマンス・アーティストとしてのキャリアをスタートさせた。ダブリンで開催された展覧会で、恋人であるウーライとアブラモヴィッチがお互いに心臓に矢を向けた状態で弓を引き続ける《休息のエネルギー》(1980)、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で700時間にわたり無言で観客と向き合い続けた《アーティスト・イズ・プレゼント》(2010)など、身体と精神の限界に挑む過激な作品を通じて、観客との関係性や芸術の本質を探求している。現代美術において「パフォーマンス・アートのグランドマザー」と呼ばれるほどの重要なアーティストだ。
建築部門:エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ
ポルトガルを代表する建築家であるエドゥアルド・ソウト・デ・モウラは1952年生まれ。素材感のある大理石や花崗岩、コンクリートなどの壁で支えられた建築や、ミース・ファン・デル・ローエの影響を受けた水平の線を強調した建築などを特徴としており、首都リスボン近郊の「ポーラ・レゴ美術館」や、ブラガの市営競技場「エスタディオ・ムニシパル・デ・ブラガ」を手掛けた。2011年にプリツカー賞を受賞。
そのほか、音楽部門はイギリスのアンドラーシュ・シフ。

演劇・映像部門はベルギーのアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル。

第28回 若手芸術家奨励制度 対象団体はイギリスのナショナル・ユース・シアター。

高松宮殿下記念世界文化賞受賞者には感謝状、メダル、賞金1500万円が贈られる。授賞式典は、10月22日に明治記念館で行われる。