三浦大知が『デス・ストランディング2』挿入歌のMVを公開。岸裕真と生成AIが構築した50以上の並行世界が登場
三浦大知の新曲「Polytope」のMVが公開された。手がけたのは、自らがチューニングしたAIを用いた作品で注目を集めるアーティストの岸裕真。小島秀夫監督の最新ゲーム『DEATH STRANDING 2 : ON THE BEACH』の挿入歌である同作のMVでは、ゲームの世界観とも共鳴する50以上の“ありえたかもしれない並行世界”が生成AIによって描かれている。

三浦大知が新曲「Polytope」のMVを公開した。監督を務めたのは、自らがチューニングしたAIを活用した作品制作で知られるアーティストの岸裕真。映像ディレクターはPERIMETRONのMargtが担当した。
「Polytope」は、小島秀夫監督による人気ゲームシリーズの続編『DEATH STRANDING 2 : ON THE BEACH』のために書き下ろされた楽曲で、MVもその世界観と呼応するように制作されている。
制作にあたって岸が挑んだのは、「生成AIと共に“まったく新しい並行世界をゼロから創造する”」という試み。出発点となったのは、「この世界は、あまりに都合よくできすぎているのではないか」という仮説だった。
現代の科学者たちが多元宇宙(マルチバース)の可能性を議論する背景にもなっているこの前提に基づき、「もし宇宙が誕生した瞬間の物理条件や定数が違ったら?」という無数の“if”を設定。生成AIと共に設計図を描き、それぞれが独自の物理法則を持つ並行世界を構築した。
MVには、そうして生み出された50以上の世界が登場。迷える森、永遠と続く砂漠、崩壊する都市、雷が降り注ぐ海など、多様なビジュアルが展開される。
例えば公開されたプロンプトでは「母星の太陽は数千年前に超新星爆発で消えた」「木は生き残るために『葉で光を作り、自分でその光を使う』仕組みを進化。葉の内部に発光層(黄白に輝く生体ランプ)と光合成層が重なっている」といった初期条件と、「幹は黒く、葉だけが昼夜を問わずランタンのように光っている」といった環境・景観が指定されている。なお、コンセプトメイキングとプロンプト設計、画像生成は岸も籍を置くDentsu Lab Tokyoが担当した。
また、三浦大知自身の登場シーンは、モーションキャプチャデバイス「Kinect(キネクト)」を用いて撮影された。深度センサーと赤外線カメラにより人物の立体情報を取得できる技術で、本作では三浦大知の実写映像と背景(樹海)を別々に収録し、その後ホログラムのように合成することで、主人公が彷徨う世界とは異なる“次元を超越した存在”として登場させている。
岸は本作について「実写とAIの映像世界の垣根を越える、“超多面体”のような映像になっていると思う」と語る。