マーク・ロスコ最晩年のスタジオ兼住居が14億円で売り出し中。《ロスコ・チャペル壁画》誕生の地
マーク・ロスコ(1903-1970)が最晩年にニューヨーク・マンハッタンに所有し、代表作である《ロスコ・チャペル壁画》14点を描き下ろしたスタジオ兼住居が売りに出された。販売価格は950万ドル(約14億円)。

マーク・ロスコが最晩年に居住したニューヨーク・イースト69番街のスタジオ兼住居が売りに出されているとHYPERALLERGICが伝えた。
この赤レンガ造り・3階建ての邸宅は総面積436平方メートル。1884年、実業家ジェームズ・スティルマンが1階を馬車小屋、2~3階を居住スペースにした邸宅をドイツ系アメリカ人の建築家ウィリアム・シッケルに注文したもので、1960年代にロスコが購入した。
ロスコは馬車小屋と上階の一部をアトリエに改造。そこで彼は、ヒューストンのロスコ・チャペルに展示するための《ロスコ・チャペル壁画》14点を描き下ろした。エル・デコが報じたところによると、上階のアトリエには天窓があり、制作中は外からの光を布で操っていた。その光の効果に気が付いた彼は、ロスコ・チャペルにも天窓を設置し、没入感ある空間を創り上げたという。さらにロスコはこの邸宅で、1970年に66歳で命を絶つ直前の作品「無題(灰色に黒)」シリーズ(1969-70)も制作した。
この邸宅は、1950年代には一部が録音スタジオとして使われており、エルヴィス・プレスリーが出演した映画『やさしく愛して』(1957)のエンディングを録音したことでも知られている。ロスコの居住後は何度かの改築を経て、現在はリビングルーム、ダイニングルームに5つのベッドルーム、3つのバスルーム、そして茶室を備えており、かつてのアトリエはガレージとして使えるようになっている。
だが、この物件は1階に日本の茶道最大流派である裏千家の「裏千家茶の湯センター」が入居しており、同組織との共同所有となる。しかし12年後には同組織との契約が終了するので、そのタイミングで買い取れる可能性もある。販売価格は950万ドル(約14億円)。サザビーズ・インターナショナル・リアルティが取り扱っている。