トランプ大統領作とされる「不適切な絵」が公開──性犯罪者エプスタインへの署名入り誕生日ギフト

9月8日、米下院監視委員会の民主党委員が、2003年にドナルド・トランプが描いたとされる裸の女性の絵を公開した。未成年者の性的人身取引で起訴され、勾留中に死亡したジェフリー・エプスタインの50歳の誕生日に寄せたメッセージだという。

米下院監視委員会の民主党委員によって公開された画像。Photo: Courtesy of the US House of Representatives Oversight Committee

アメリカの下院監視委員会は9月8日、性的人身取引で起訴され、勾留中の2019年に死亡した富豪、ジェフリー・エプスタインの遺産管理団体から提出された諸資料を公開した。そこには、トランプ大統領が描いたとされる誕生日祝いのメッセージもあった。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)などが報じるところによると、女性の身体の輪郭の絵とメッセージの下部には、ファーストネームの「ドナルド」をサインするときに似た筆致の署名がある。

WSJは7月にもこの絵の存在について報じている。それによると、2003年にエプスタインの50歳の誕生日に贈られた、友人や仕事仲間からのメッセージや写真、詩などがまとめられた革装丁の冊子に、この絵も含まれている。編纂したのは、未成年者の性的人身売買を手助けしたとして2021年に有罪判決を受け、服役中の元側近ギレーヌ・マクスウェルだ。トランプ大統領側はこの絵は捏造だとして、名誉毀損で同紙や親会社、その創業者であるルパート・マードックを訴えた。

これまでトランプ大統領とホワイトハウスは、この絵を描いたことを繰り返し否定しており、7月に大統領は「人生で一度も絵を描いたことはない」と発言。しかしその数日後、ニューヨーク・タイムズ紙が、トランプ大統領は昔から落書きのような絵を描き、その絵をさまざまなチャリティオークションで売っていたことを詳細に伝える長文レポートを発表している。中でも2005年にマンハッタンの輪郭を描いたスケッチは、2017年のオークションで3万ドル(最近の為替レートで約440万円)近くで落札されたという。

エプスタイン事件に関わる資料の公表について、カリフォルニア州選出の下院議員で、監視委員会における民主党のトップであるロバート・ガルシアは声明でこう述べている。

「監視委員会は、トランプ大統領が存在しないと否定してきたメモが含まれる悪名高い誕生祝いの冊子を入手しました。大統領は自分が知る真実を話し、エプスタインに関する全てのファイルを公開すべき時です」

ホワイトハウスのキャロライン・レビット大統領報道官とテイラー・ブドウィッチ次席補佐官は8日、トランプ大統領による絵の存在やメッセージへの署名を再び否定。ブドウィッチは、トランプ大統領の署名は画像のものよりも角張っていると主張した。一方、ニューヨーク・タイムズは、その時代の個人的な手紙を複数調査したところ、画像と似た署名が見られたとしている。その特徴の1つは、「ドナルドの最後の『d』の文字が、右に向かって長い尾を引いている」点だ。

なお、下院監視委員会は、誕生祝いの冊子のほかにもエプスタインの遺言書や住所録、連絡帳の記録、銀行口座の情報などを入手している。(翻訳:石井佳子)

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