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性犯罪者ジェフリー・エプスタインの「親友」で著名なコレクターであるMoMA前理事長に、2度目の性的暴行告発

ニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事で前理事長のレオン・ブラックが、性的暴行疑惑で2度目の告発を受けたとロイター通信が伝えている。

昨年に続き、再び性的暴行で告発されたMoMA前理事長(現在は理事のひとり)のレオン・ブラック。Photo: Courtesy Apollo Global Management

11月28日にレオン・ブラックが性的暴行でニューヨーク州裁判所に提訴された。告発したのは、チェリ・ピアソン。ピアソンは、ブラックが彼の財務アドバイザーだった実業家ジェフリー・エプスタインのマンハッタンの家で、彼女を「残酷に」レイプしたと主張。エプスタインは児童買春の罪で2019年に有罪判決を受け、勾留中に死亡している。

ピアソンはまた、エプスタインが5回にわたって彼女に1回あたり300ドルの「マッサージ」代金を支払ったとしている。その後、エプスタインはブラックにも、やはり表向きはマッサージという名目で、彼女に対して同額の支払いを持ちかけた。シングルマザーのピアソンは、幼い娘の世話のために収入が必要だったため、この話を受けたという。

自分より身長が20センチあまり高く、体重は約2倍もあるブラックが、エプスタインのアッパーイーストサイドにあるタウンハウス3階の「人目につかないプライベートな場所」で性的暴行を加えたと、ピアソンは訴えている。ブラックはその後、「耐え難い痛み」とショック状態に陥った彼女とともにタウンハウスを出たが、「彼女をその場に残し、背を向けて立ち去った」という。

ロイター通信の報道によると、ブラックの弁護士スーザン・エストリッチはピアソンの訴えに対し、「まったくの虚偽の申し立てで、ブラックの評判が傷つくと脅して金をせしめようとする企ての一部だ。(中略)我われは、この根拠のない主張を覆すつもりだ」と述べている。

ピアソンを弁護するのは、元モデルのグゼル・ガニーバの代理人も務めている法律事務所ウィグドールLLP。ガニーバは2021年3月に、ブラックが「何年もの間」彼女にセクハラや性的虐待を行っていたとツイートで暴露。また、『ヴァニティ・フェア』誌が伝えるところによると、エプスタインの「性癖」を何度も口にしていたブラックが、「『親友』エプスタインのセックスニーズを満たすために、ガニーバを同意なしにフロリダに行かせた」というガニーバの証言が裁判記録に残されているという。

ブラックはガニーバとの関係を認めたが、性的暴行については否定している。この件についてデイリー・メール紙は、21年10月にブラックがガニーバを名誉毀損で訴え、彼女の目的は自分の「破滅」だと主張したと伝えた。

エプスタインとの関係が噂される中、ブラックは21年3月にニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事長を辞任し、共同創業者として30年以上自らが率いてきた米投資会社アポロ・グローバル・マネジメント社のCEO兼会長からも退いている。

12月1日現在、MoMAはブラックと同美術館との関係についてのコメント要請に応じていない。

ブラックはUS版『ARTnews』のトップ200コレクターズにランクインしており、『フォーブス』誌によると、資産額は約90億ドル(約1兆2000億円)に上る。なお、21年には150人以上のアーティストや活動家が、MoMAにブラックとの関係を断つよう求める嘆願書に署名している。

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