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900万ドル(13億円超)の中国清代・乾隆年製?花瓶、安く見積もった専門家がクビ

中国清代のものかもしれないという憶測が飛んだ花瓶が900万ドル(約13億2000万円)で落札された。その4000分の1という超低額査定をした美術専門家が、フランスのオークション会社をクビになった。しかし、なぜそれほどまでに高騰したのかは、いまだ謎だ。

オークションで900万ドルで売れた中国の「天球瓶」様式の花瓶 オセナト提供

問題の龍雲文花器は、もともとの落札予想価格は2000ユーロ(2000ドル、約30万円)だった。だが、フランス・フォンテンブローで先週開かれたオセナト・オークションで、900万ユーロ(898万ドル、約13億2000万円)で落札された。 

当初の見積もりは、20世紀に作られた装飾品に過ぎないという専門家の見立てを反映して、1500ユーロと2000ユーロだった。しかし、買い手たちは、18世紀(清代)までさかのぼれるのではないかと疑った。

「専門家が間違ったのだ。中国人の買い手300人が興味を示したのに、対する専門家1人が正しいなんてありえない」とオークション会社のジャン=ピエール・オセナト会長は先週、英ガーディアン紙に語った。「彼は我が社で働いていたが、それはもう過去の話。結局のところ、重大なミスを犯したのだ」

匿名の出品者は、母親の遺産を整理している時に、「天球瓶」様式のこの花瓶——その当時の典型的な模様のある青と白の丸形瓶——を見つけた。

龍雲模様はアジアのコレクターの間でとても人気がある。18世紀の清朝・乾隆帝の時代製を示す「乾隆年製」の印が、この花瓶にあるとの説もあった。中国在住の買い手は、最終的に電話で入札した。

「この花瓶が古いのか、なぜこんな値段で売れたのかはわからない」とオークション会社のアジア美術部長、セドリック・ラボルドは説明する。「評価額は専門家の見解と一致している。中国では、18世紀の花瓶などの写しもまた芸術なのだ」

解雇された専門家は、今も、鑑定した当初の評価額が正しいと主張しているそうだ。(翻訳:編集部)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年10月12日に掲載されました。元記事はこちら

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