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今週末に見たいアートイベントTOP5: 阪神・淡路大震災30年に6作家が「希望」を考える、ル・コルビュジェ円熟期の創作に焦点

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965(パナソニック汐留美術館)より、ル・コルビュジエ《奇妙な鳥と牡牛》1957年、大成建設株式会社蔵

1. 川端龍子+高橋龍太郎コレクション ファンタジーの力(大田区立龍子記念館)

川端龍子のアトリエに加藤泉作品などが展示される。
写真左から草間彌生《海底》《自転車と三輪車》、川端龍子《龍巻》。
展示風景。

川端龍子作品と現代アートの幻想的なコラボレーション

日本屈指のアートコレクター高橋龍太郎のコレクションを、日本画家の川端龍子(1885-1966)の作品とともに展示する。高橋が1990年代半ばから収集を始めた日本の現代アートのコレクション3500点の中から「ファンタジー」をテーマに、草間彌生李禹煥奈良美智、丸山直文ら20人を超える作家たちの作品を選んだ。

また、予約制で、国の有形文化財にも指定されている川端龍子が制作に打ち込んだアトリエに入室し、加藤泉、西村陽平、宮永愛子の作品を観賞することができる。

川端龍子+高橋龍太郎コレクション ファンタジーの力
会期:2024年12月7日(土)~3月2日(日)
場所:大田区立龍子記念館(東京都大田区中央4-2-1)
時間:9:00~16:30(入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝日は翌平日)


2. 藤村祥馬 「Romantic Action」(KANA KAWANISHI GALLERY)

Romantic Stone 2
2022
stone, metal, motor
230 × 320 × 260 mm
Credit: © Shoma Fujimura, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY
Romantic Stone 1
2022
stone, metal, motor
450 × 160 × 140 mm
Credit: © Shoma Fujimura, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY
Romantic Stone 3
2024
stone, metal, motor 2500 × 4500 × 800 mm
Credit: © Shoma Fujimura, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

何気ない石の動きから問う偶然性の意味

藤村祥馬は廃材や金属など、さまざまな素材を組み合わせたキネティック作品を制作するアーティスト。本展では「Romantic Stone」シリーズをベースとした新作で空間を演出する。

「Romantic Stone」では、2つの小さな石が回転し、上下左右に動くことで限りなく接近する。機械をアップデートして極限まで効率化を追求している現代社会とは対極にある、無意味な石の動きと派手な仕掛けは、人間の時間スケールを超えた移り変わりや偶然を表す。物事の動きに柔軟かつ誠実に向き合いながら、ロマンとは何か、意味はどこにあるのかを、藤村の独特でユーモラスな感性で問う。

藤村祥馬 「Romantic Action」
会期:2024年12月14日(土)〜1月25日(土)
場所: KANA KAWANISHI GALLERY(東京都江東区白河4-7-6)
時間: 13:00 〜 18:00
休館日:月火日祝


3. Writing Unbound―フランスのストリートアートと出版物(アニエスベー ギャラリー ブティック)

展示風景。
展示風景。
展示風景。
展示風景。

ストリート文化が揺さぶる制度空間の固定観念

今夏に渋谷で開室予定の「LGSA by EIOS」は、大山エンリコイサムスタジオが運営する、ストリートアートについての社会理解を促進する資料室・ギャラリー。本展では、開室に先駆けてLGSAの収集資料から、パリを中心にフランスの路上・ストリートの表現をテーマにした13冊の書籍を紹介するとともに、それぞれの内容から派生した小展示をギャラリー内の各所に展開する。言語や商業の空間であり、制度性を帯びやすいと考えられている書籍やギャラリーで、路上と活字の「ライティング」が交差することで、ストリートの概念をあらたな意味の連関のもと綴り直す。

Writing Unbound―フランスのストリートアートと出版物
会期:2024年12月21日(土)〜2月9日(日)
場所:アニエスベー ギャラリー ブティック(東京都港区南青山5-7-25)
時間:12:00 〜 19:00
休館日:月曜


4. 阪神・淡路大震災30年 企画展「1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち」(兵庫県立美術館)

米田知子《震源地、淡路島》1995年 国立国際美術館蔵
©Tomoko Yoneda/Courtesy ShugoArts
参考:束芋《dolefullhouse》2007年 兵庫県立美術館蔵
©Tabaimo/Courtesy Gallery Koyanagi
参考:やなぎみわ《「女神と男神が桃の木の下で別れる」川中島 II 》2016年
参考:梅田哲也「梅田哲也イン別府『O滞』」2020年 役者:森山未來ほか

阪神・淡路大震災から30年、今求められる「希望」とは

1月17日で阪神・淡路大震災から30年になる。その節目に合わせて、6組7人のアーティストによるグループ展を開催する。兵庫県立美術館は、震災で被害を受けた兵庫県立近代美術館を引き継いで2002年に震災復興の文化的シンボルとして開館した。これまでも震災の節目の年に関連展示を行ってきたが、今回初めて特別展として開催する。

30年の間に、世界は多くの自然災害や紛争に見舞われ、明るい未来を想像することはますます困難な状況となっている。そのような時代に求められる希望とは何なのか。本展は簡単には答えの出ないこの問いを考え続けるための、ひとつの場となる。出展作家は、國府理、束芋、田村友一郎、森山未來、梅田哲也、やなぎみわ米田知子

阪神・淡路大震災30年 企画展「1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち」
会期:2024年12月21日(土)〜3月9日(日)
場所:兵庫県立美術館(兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日は翌平日)


5. ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965(パナソニック汐留美術館)

ル・コルビュジエ《牡牛XVI》1958年、ル・コルビュジエ財団(パリ)蔵
ジャン(ハンス)・アルプ《地中海群像》1941/1965年、東京国立近代美術館蔵 撮影:大谷一郎
ル・コルビュジエ《奇妙な鳥と牡牛》1957年、大成建設株式会社蔵
ル・コルビュジエ《手》1957年、森稔コレクション蔵

コルビュジェ後期の作品から、その芸術観を追う

近代建築の巨匠として世界的に知られる建築家、ル・コルビュジェ(1887-1965)の40歳代以降の円熟期の創作にスポットをあてる日本初の試みとなる展覧会。本展は1930年代以降に手がけた絵画、彫刻、素描、タペストリーのほか、新しい技術の芸術的利用、そして後期の建築作品も併せて紹介することで、はるかに伝統的な枠組みを超えたコルビュジエの芸術観を明らかにする。

コルビュジェの建築と、フェルナン・レジェ、ハンス・アルプ、カンディンスキーといった同時代を生きた先駆的な芸術家たちの作品を対峙させるほか、画家・コルビュジェの集大成である「牡牛」のシリーズから晩年の3作品《牡牛XVI》《牡牛XVIII》《牡牛》(未完・遺作)が展示される。

ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965
会期:1月11日(土)〜 3月23日(日)
場所:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで、2月7日、3月7日、14日、21日、22日は20:00まで)
休館日:水曜(3月19日は除く)

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