閉幕間近の大阪・関西万博で「アヴァンギャルドですが、なにか」展──障がいのある作家26人が参加

2025年大阪・関西万博の会場内のギャラリーWESTで、展覧会「アヴァンギャルドですが、なにか」が開催される。26人の障がいのある作家が日常や個人的経験を起点に既成概念を問い直し、現代における「前衛」の精神を提示する。

Photo: Courtesy of HERALBONY

2025年大阪・関西万博の会場内に位置するギャラリーWESTで、障がい者の文化芸術国際フェスティバルの一環として展覧会「アヴァンギャルドですが、なにか」が10月9日から11日まで開催される。

現在、前衛=実験的・急進的・革新的という意味で使われる「アヴァンギャルド」という言葉は、そもそも「前衛部隊」「先陣」という意味の軍事用語だったが、19世紀フランスで、社会思想や芸術運動において「時代の先頭を行く人々・思想」を指す比喩として用いられるようになった。本展は、そうした「前衛」の精神を現代の文脈で捉え直す試みでもある。

この展覧会では、日常や個人的な経験を出発点に既成概念を問い直す作品が紹介される。キュレーションを担当した、障がい者アートの社会実装に取り組むヘラルボニーCAO(Chief Art Officer)の黒澤浩美は、「アートは固定されたものではなく、鑑賞者の解釈によって常に新しい意味を生む営みです。作家の真摯な姿勢や情熱は、見る人の心に強く響くでしょう」と語る。

展覧会には、藤岡祐樹や西岡弘治、渡邊義紘をはじめとする計26人の作家が参加する。また、会場では体験型プロジェクトも同時展開される。障がい者の暮らしを変えてきた歴史的プロダクトの紹介や、展覧会図録、オリジナルグッズの販売、農福連携キッチンカーによるフードコートが設けられ、障がいのある人々が販売や調理の一部を担当する。

本展は、情熱と違いへの開かれた姿勢こそが「前衛」の精神を生み出すことを示し、この体験を通じた出会いや感動を来場者に持ち帰ってもらうことを目指している。

山崎健一《無題》(制作年不詳) Photo: Keizo Kioku
藤岡祐樹《無題》(2006-2008) Photo: Keizo Kioku
渡邊義紘《折り葉》(2020-2024) Photo: Keizo Kioku
西岡弘治《楽譜 vivace.》(2008)Photo: Keizo Kioku
岩瀬俊一≪爬虫類とゆかいな仲間たち≫(2019) Photo: Keizo Kioku

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