BTS・RMの秘蔵アートコレクション、ついに公開! サンフランシスコ近代美術館での展示作品とは?

K-POPグループBTSRMサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)による展覧会が2026年10月から2027年2月まで開催されると発表された。アートラバーとして知られるRMのコレクションがまとまった形で公開されるのは、これが世界初となる。

Portrait of RM; courtesy HYBE
Portrait of RM Photo: courtesy HYBE

K-POPグループ、BTSRMサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)の共同企画による展覧会「RM x SFMOMA」が2026年10月から2027年2月まで開催されることが10月2日に発表された

同展は、RMが展覧会の主任キュレーターを、そして、SFMOMAのアシスタントキュレーターのキム・ヒョウンとキュラトリアル・プロジェクトマネージャーのアメリカ・カスティーリョが共同キュレーターを務める。SFMOMAのプレスリリースによると、同展は「韓国の近代美術作品と世界の現代美術作品が対話する貴重な機会」であり、そのテーマに沿って、SFMOMAの常設コレクションとRMの個人コレクションから合わせて約200点が展示されるという。SFMOMAの主任キュレーター、ジャネット・ビショップは、本展についてプレスリリースで次のように述べている。

「来場者は、RMの美しく瞑想的な絵画と彫刻のコレクションを、SFMOMAの所蔵作品と対話させながら探求する前例のない機会を得ることになります。それは新たな発見をもたらし、芸術と自分自身との関係について考えさせてくれることでしょう」

注目すべきは、RMのコレクションからどんな作品が出展されるか。というのも、今回、RMコレクションの作品のほとんどが初公開だからだ。

というわけで、早速、その出展作品を見ていこう。まずは、2022年にRMがボストン美術館で開催された回顧展に足を運んでいたというフィリップ・ガストンの《Red and Black Book》(1969)。そして、かつて自身のインスタグラムで自宅に設置する様子を紹介していたロニ・ホーンの《"But the boomerang that returns is not the same one I threw."》(2013–17)。また、2022年のソロアルバム『Indigo』で、ジャケットデザインと最初の楽曲「Yun」でオマージュを捧げたユン・ヒョングン(1928-2007)の作品もある。さらに、韓国近代主義の先駆者であるパク・レヒョンとチャン・ウッチン、抽象画家クォン・オキョン、彫刻家キム・ユンシン、写実主義の巨匠ト・サンボンなど、韓国近現代美術の重要作家の名が並ぶ。

フィリップ・ガストン《Red and Black Book》(1969)Collection of RM: © The Estate of Philip Guston, courtesy Hauser & Wirth
ロニ・ホーン《"But the boomerang that returns is not the same one I threw."》(2013–17) Collection of RM: © Roni Horn, courtesy Namjoon Kim
ジョルジョ・モランディ《Fiori》(1949)Collection of RM
ユン・ヒョングン《Blue-Umber '79-C6》( 1979)Collection of RM: © Yun Seong-ryeol, courtesy PKM Gallery
チュサ・キム・ジョンヒ《Orchid Paintings and Writings》(19世紀、朝鮮王朝時代) Collection of RM

これらに呼応するように、SFMOMAコレクションからは、韓国における単色画運動の始祖であり、抽象画の先駆者でもあるキム・ファンギの《26-I-70》(1970)や、マーク・ロスコ《No. 14, 1960》(1960)、アグネス・マーティン《Falling Blue》(1963)、アンリ・マティスやパウル・クレージョージア・オキーフといった近現代美術の巨匠の作品がラインアップされている。

マーク・ロスコ《No. 14, 1960》(1960)San Francisco Museum of Modern Art, Helen Crocker Russell Fund purchase; © 1998 Kate Rothko Prizel & Christopher Rothko / Artists Rights Society (ARS), New York; photo: Katherine Du Tiel
キム・ファンギ《26-I-70》(1970)San Francisco Museum of Modern Art, gift of Mrs. Whanki Kim; © Estate of Whanki Kim; photo: Katherine Du Tiel
アグネス・マーティン《Falling Blue》(1963)San Francisco Museum of Modern Art, Gift of Mr. and Mrs. Moses Lasky; © Estate of Agnes Martin / Artists Rights Society (ARS), New York; photo: Don Myer

RMは過去、様々な活動を通してファンをアートの世界へ誘ってきた。2021年のアメリカ横断旅行では、ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー、ヒューストンのメニル・コレクションとロスコ・チャペル、テキサス州マーファのチナティ財団などの施設を訪れた。その様子は自身のインスタグラムで紹介され、美術館側のフォロワー数やエンゲージメントの上昇、さらには来館者数の増加をもたらした。2022年には、ソウル市立美術館へクォン・ジンギュの作品を貸し出したことで、展覧会は同年の美術館で最も来場者の多い展示の一つとなった。さらにRMは日本にも度々訪れ、2022年には東京国立近代美術館で開催された「ゲルハルト・リヒター展」や、那須塩原市にある奈良美智の私設アートスペース「N's YARD」を訪れており、その様子をインスタグラムでシェアしている。

RMは「RM x SFMOMA」について、プレスリリースで次のように語っている。

「私たちは境界線によって定義される時代に生きています。SFMOMAでの展覧会は、そうした境界線──東西、韓国とアメリカ、近代と現代、個人的と普遍的──を映し出します。これらの作品をどう見るべきかは指示しません。好奇心であれ研究目的であれ、あらゆる視点を受け入れます。ただ1つ願うのは、この展覧会が多くの人々にとって小さくとも確かな架け橋となることです」

彼は2022年のUS版ARTnewsの取材に対して、「多くのアートラバーと同じように、機会があればすばらしい展覧会に足を運びたい。そして、感想をシェアすることで他の人にも楽しんでもらいたい。それだけです」と語っている

2023年12月から兵役に入り、2025年6月に除隊したRMは、その後すぐにサムスンのアートTVのグローバルアンバサダーとなり、スイスのアート・バーゼルでパネルディスカッションにも参加している。アートコレクター、パトロン、そしてエヴァンジェリストとしても知られるRMの、今後のアート業界における活動指針を知る上でも、今回の展覧会が重要なものとなるのは間違いない。(翻訳:編集部)

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