京都のアートスペース福寿園で、戸田沙也加ら4作家のグループ展が開催中。11月15日にトークイベントも

「五感をひらく茶のかたち」と題された企画展が、京都のアートスペース福寿園で開催されている(2026年2月8日まで)。本展は、戸田沙也加ら4人のアーティストがそれぞれの視点から「茶」という存在を捉え、瑞々しい感性でその営みを再解釈した作品を展示する。

戸田沙也加《Bloom in Hand》2025年、キャンバス・油彩、H64×W53×2cm

230年以上の歴史を持つ京都の宇治茶専門店、株式会社福寿園が運営するアートスペース福寿園では、10月24日から2026年2月8日まで、企画展「五感をひらく茶のかたち」を開催中だ。

同スペースで6回目の企画展となる今回は、杮落とし展を飾ったアーティストである戸田沙也加と、戸田の呼びかけで集った1990年代生まれの若手作家、本間賛、尾崎好美、佐々木大河の4人によるグループ展となる。

展覧会では、古くから日本の生活文化の中心にある「茶」をテーマに、伝統的な形式を継承しつつ、現代的な感性でその営みを再解釈した作品が並ぶ。木、石、陶器、ガラス、樹脂といった多様な素材との対話を通じて生み出された、陶芸、彫刻、インスタレーションなどの作品群は、視覚だけでなく、素材の肌理(きめ)や温度、香り、空間の情景や音など、鑑賞者の五感を豊かに刺激する。

本間 賛/庭(2025)素材: ガラスコップ、和紙、紙、陶土、ガラス、鉛筆、パステルサイズ: W162×D130×H45 cm
尾崎好美/母は母を飲み込む(2022)素材: 石材、木材/サイズ: W180×D60×H40 cm
佐々木大河/景-原郷-(2025)素材: 樹脂(ウレタン塗料含む)、木 /サイズ: H110×W78×D9 cm

本展を率いる戸田沙也加は、画家としてキャリアをスタートさせたが、近年は写真や映像インスタレーションなど、多様なメディウム・技法も併せて用いながら制作活動を展開している。美しさと醜さ、女性性と男性性、争いと共生といったテーマを植物や女性の姿になぞらえた作品は、国内外で高い評価を得ている。

出品作家の本間賛は、陶芸を中心に、朽ちゆくものや無形の記憶・観念を「標本」として形に留める作品を制作する。自身の身体を媒介とするパフォーマンスや、石・木の彫刻を制作する尾崎好美は、習慣や民俗、土俗的信仰に宿る無形の美を追求している。佐々木大河は、信仰における空間と彫刻の関係に関心を持ち、近年は「景色」などをテーマに多様な素材を用いた作品に挑戦している。

なお、会期中の11月15日の13時半からは、お茶を愉しみながら、戸田沙也加に今回のプロジェクトの背景や作品に込めた思いなどについて聞くトークショーも開催予定。モデレーターは、ARTnews Japan編集長の名古摩耶が務める。

「五感をひらく茶のかたち」 戸田沙也加、本間賛、尾崎好美、佐々木大河展
会期:10月24日(金)~2026年2月8日(日)
場所:アートスペース福寿園(京都市下京区四条富小路角 福寿園京都本店7F)
時間:11:00~17:30
休廊日:日~水、1月1日

アーティストトークイベント
日時:11月15日(土)13:30~15:00頃
場所:アートスペース福寿園
参加費:3500円/人 ※ お茶と主菓子(塩芳軒)付き
申し込み方法(11月11日締め切り):メール([email protected])にてお申し込みください

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