NYのアートコレクターたちが大熱狂! 気鋭画家、アンナ・ワヤントの個展がガゴシアンで開幕
今、人気急上昇中の27歳の画家、アンナ・ワヤントの個展「Baby, It Ain't Over Till It's Over(ベイビー、終わるまでは分からない)」が11月3日、アメリカ・NYのアッパーイーストサイドにあるガゴシアンで開幕した。
いつもは目立たない制服で静かに業務にあたっている警備員たちが、オープニングパーティの夜はカラフルなスーツを纏い、2つある展示室の入り口で溢れかえるオーディエンスに列を作るように促していた。しかし、中には彼らの目を盗んで背後から忍び込む人もおり、普段は上品なアート界の人々が我を忘れて夢中になっていたのは面白い光景だった。
ギャラリーの1階にはワヤントのドローイングや習作、2階には新作7点が展示されている。会場を埋め尽くすエルメスを身に着けたリッチな人たちの中でも、多くの中年女性が、「あの作品が欲しい」とiPhoneで写真を撮っていた。ワヤントの作品は入手困難なので、健闘を祈るばかりだ。コレクター気取りの人たちの中に混じって、奇抜なファッションに身を包んだ若い人たちの姿も。しかし、こうした人々の間を(祝福の声をかけられたり、解放されたりしながら)移動するワヤントは、エッジの効いたアーティスティックなものとは異なる雰囲気を纏っていた。
ブロンドの髪を黒のクリップで留めたワヤントは、シルクのネイビーのブレザーの下に黒のブラジャー、スパンコールのついたシルバーのミニスカート、ゴールドのプラットフォームヒールを履いていた。魅惑的な瞳の彼女は、力強く握手しながら、「展覧会を開催できて安心しました」と安堵の表情を見せた。
会場には夜通し、マーク・ジェイコブス(2010年にセント・バルトのガゴシアンハウスで婚約パーティを開催した)、スタンレー・ホイットニー、グレン・ファーマン、アビー・ローゼン、ビル&マリア・ベルなどの著名人やアートコレクターが出入りしていた。そこには、彼女のミューズであるヴィーナス・ウィリアムズとアイリーン・ケリーも含まれていた。
テニス界のスーパースターであるヴィーナスについてはもはや説明の必要はないだろうが、ケリーはワヤントのモデルを務めることでスターとなった。《2人のアイリーン(Two Eileens)》(2022)と《アイリーン(Eileen)》(2022)の2枚の絵に描かれたケリーは、SNSでソフトフォーカスで挑発的な写真を投稿、その後、性教育者やポッドキャスターとして活動をしている。絵画の彼女は、ピンクの服がずり落ち、白いパンティーが露わになろうとしている。パステル調で少女的な描写の背景には黒い空虚な空間が広がり、クモの巣のようなゴシックなエッジも感じられる。
ワヤントのミューズは、他人の視線を気にしてはいない。その視線はすでに自分に向けられているのを知っているからだ。(翻訳:編集部)
*from ARTnews