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バスキアの終の棲家が家賃800万円で賃貸に。かつてはウォーホルも居住

かつてアンディ・ウォーホルが所有し、1983年から88年に亡くなるまでバスキアが生活していた物件が、月額6万ドル(約800万円)、10年以上の契約で貸し出されることが決まった。

バスキアが自宅兼アトリエを構えたアパート。 Photo: COURTESY MERIDIAN CAPITOL GROUP/ SYLVESTER ZAWEDZKI

芸術史的に価値の高い場所に住みたい人にとって、これほど魅力的な物件はほかにないだろう。今回貸し出されたのは、NYマンハッタン南部(The 57 Great Jones Street)にあるアパート。バスキアは、ウォーホルに出会って間もなく、彼からこの建物の2階部分を借りており、不動産会社であるMeridian Capital Groupの説明によれば、この2階スペースは「高い天井と複数の天窓がある開放的な」ロフト空間だという。

建築保存協会であるVillage Preservationは、2016年にTwo Boots Pizzaと連携し、建物の外壁に元住人を記念するプレートを設置。このプレートには、「バスキアの絵画やその他の作品は、ハイアートやローアート、人種や階級といった既存の概念に挑戦し、当時の社会規範にとらわれない先見的な言語を作り上げた」と記されている。建物の外観もストリートアートで飾られており、グラフィティ・アートデュオ「SAMO」の一人としてキャリアをスタートさせたバスキアへの敬意を表している。

この建物はウォーホルによって1970年に購入されているが、それ以前にも彩りに満ちた歴史を歩んできた。1860年代の完成後、最初にこの建物を購入したのは、1904年にブライトン・アスレチック・クラブをオープンしたイタリア系アメリカ人のギャング、ポール・ケリーことパオロ・アントニオ・ヴァッカレリ。その後1970年まで、金属加工業やキッチン用品会社として使用され、直近では高級日本食レストラン「ボヘミアン」が入居していた。近隣には、Venus Over ManhattanやEric Firestone Galleryなどのギャラリーが並んでいる。

3階建て、床面積約613平方メートルのこのビルは、現在、Meridian Capital Groupが管理している。今回の貸出について、同社ディレクター兼専属仲買人の一人であるジョン・ロッシュは、「このビルを、ぜひアートコミュニティーに残したい 」と述べている。

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