ヴェネチアの運河が蛍光グリーンに──グレタ・トゥーンベリらがCOP30の「脱化石燃料」停滞に抗議

ヴェネチアの大運河が、環境活動家たちの手によって鮮やかな緑色に染まった。スウェーデンの活動家グレタ・トゥーンベリと、環境運動団体「エクステンション・レベリオン(絶滅への抵抗)」による抗議行動で、脱化石燃料で世界各国の足並みが揃わないことに不服を唱えている。

環境活動家たちの抗議で緑色に染まったヴェネチアの大運河。Photo: Extinction Rebellion

11月22日、環境活動家のグレタ・トゥーンベリと環境運動団体「エクステンション・レベリオン(絶滅への抵抗)」のメンバーによる抗議活動で、ヴェネチアの大運河の水が蛍光グリーンに変わった。ブラジルで行われていた第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)で化石燃料からの脱却に向けた行程表の策定がまとまらず、合意文書に盛り込めなかったことを活動家らは不服としている。

ボートで運河に漕ぎ出した複数の活動家が流し込んだのは環境に無害な染料で、水が鮮やかな緑色になったのは、染料に蛍光色素の一種であるフルオレセインが含まれていたためだ。イタリアでは、同様の活動が10都市の湖や噴水、水路で相次いでいた。

トゥーンベリと仲間の活動家たちはまた、「気候崩壊による影響の甚大さ」を強調するため、大運河に架かるリアルト橋に「生態系の破壊を止めろ」と書かれた横断幕を掲示。さらには、楽器を鳴らしての抗議のほか、赤い衣装を着け、赤いベールで顔を覆った活動家たちの葬列デモも行われた。これは、COP30に参加した各国の代表団が、化石燃料削減で合意に至らなかったことを象徴的に表すものだ。

11月22日に閉幕した今回のCOP30に、アメリカは初めて代表団を派遣しなかった。また、化石燃料削減のペースを速めたい欧州連合(EU)などは骨抜きになった合意文書を拒否する姿勢を見せたが、最終的には脱化石燃料で合意できないまま成果の乏しい文書に署名している。

一連の行動についてエクステンション・レベリオンのセレーネと名乗るメンバーは、声明でこう述べている。

「イタリアの海や河川を象徴的に緑に染めよう。我われの政府が支援する産業によって日々汚染され続けるこの水域を。なぜなら、これが現在の環境政策が私たちを導こうとしている世界だからだ」

トゥーンベリを含む環境活動家36人は、この抗議行動でヴェネチアの当局から各150ユーロ(約2万7000円)の罰金を科され、48時間の立ち入り禁止処分を受けた。

ヴェネチアのあるヴェネト州のルカ・ザイア知事は英インディペンデント紙の取材に、こうした抗議行動は「我われの街と歴史、そしてその脆弱性に対する敬意を欠く行為だ」と答えている。

アドリア海のラグーンに浮かぶヴェネチアは気候変動の影響に対して極めて脆弱で、海面上昇と「アクア・アルタ」と呼ばれる高潮による浸水の頻度が年々増加。近年サン・マルコ広場は年間約250回の浸水に見舞われており、2100年までにヴェネチアが水没する可能性があると警鐘を鳴らす専門家もいる。(翻訳:石井佳子)

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