中国・北魏時代の墓から多数の陶俑。踊り子や音楽家、動物も
山西省大同市にある大同文物考古研究所の考古学者が、多数の陶製の人形を発見したと、『チャイナ・デイリー』が報じている。
この墓からの出土品は貴重な史料として、北魏時代(386年〜534年)の葬送文化、民族衣装、社会生活に関する研究の進展に大きく寄与すると期待されている。
魏(ぎ)とは、モンゴル高原で活動していた遊牧民族のひとつである鮮卑(せんぴ)族の拓跋(たくばつ)氏によって建国された中国の王朝で、386年から535年にかけて中国北部を支配していた。政治的混乱と社会的動乱の激しい時代にあって、北魏は439年に中国北部を統一し、改革を通じて農村部における帝国の支配を強化。今回発見された陶俑には、踊り子、音楽家、使用人、労働者など、さまざまな役割の人々に加えて、動物や器物もあった。
考古学者たちは、この出土品から、墓の所有者は上流階級の人々であったと推測している。また、今回出土された女性の音楽家をかたどった人形を調査することで、その衣装と当時の国民文化との関連性を研究することができるという。(翻訳:貝谷若菜)
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