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黄金の舌を持つミイラを発掘! カイロ近郊の古代墓地の調査より

エジプトの首都カイロから北へ60キロほどの場所に位置する古代墓地ケスナの遺跡調査で、口の中に金の舌があるミイラが埋葬された廟が見つかった。紀元前300年から紀元後640年のものと見られる。

エジプト、ケスナの古代墓地で人の舌の形をした金の小片が発見された。Photo: Courtesy Egyptian Ministry of Tourism

エジプトの考古最高評議会は、様々な時代の墓が存在する古代エジプトの墓地が見つかったと発表した。何体かのミイラの口からは、保存状態は悪いながらも多数の金の小片が舌の形で発見されたという。また、麻布に包まれた骨格に金が乗せられたミイラも見つかっている。中には金でスカラベ(コガネムシ)や蓮の花をかたどったものもあった。

墓所からは、埋葬に使われた魔除けや土器、にかわ、乾留液のほか、木棺や銅の釘なども出土している。

ミイラの舌は防腐処理の際に取り除かれ、古代エジプトの冥界の神オシリスに語りかけるために、金と交換されたと考えられている。なお、この遺跡でミイラの金の舌が発見されたのは今回が初めてではない。2021年には舌の形をした装飾を持つ頭蓋骨や、金の舌を持つ男性、女性、子供のミイラも見つかっている。

考古最高評議会の考古部門責任者であるアイマン・アシュマウィによると、墓地の発掘調査から、この墓地が3つの異なる時期に使用されていたことが判明したという。また、さまざまな層の発掘を進めるうちに、埋葬の方向や遺体の置き方など埋葬の習慣に変化があることも分かった。

ケスナ遺跡は1989年に発見されて以来、数十年にわたり何度も発掘が行われてきた。この場所からは、プトレマイオス朝時代やローマ時代の建造物も発見されている。(翻訳:石井佳子)

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