来館者320万人も赤字拡大止まらず──ロンドン・ナショナル・ギャラリー、人員削減と事業見直しへ

ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、運営コストの上昇などを背景に、職員向けの自主退職制度の導入や複数事業の停止を含む緊縮策を発表した。是正措置を取らなければ、赤字は2027年までに約17億円に拡大するという。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーの外観。Photo: The National Gallery Photographic Department
ロンドン・ナショナル・ギャラリーの外観。Photo: The National Gallery Photographic Department

ロンドン・ナショナル・ギャラリーが人員およびプログラム削減の実施を発表した。これを伝えた声明によれば、同館は「断固とした是正措置」を講じなければ、2027年までに赤字が820万ポンド(約17億円)にまで拡大する見通しであるという。その背景には、「現在の世界情勢とコストの高騰」があり、「多くの機関と同様、人々の時間や支出の配分をめぐる競争が一層激化している」と説明している。

また声明では、「日常業務の中で直面している財政的圧力を緩和するため、長年にわたりさまざまな努力を続けてきました。しかし広く報じられているように、運営コストの上昇や商業面での圧力など当館の管理外の要因が重なり、困難かつ苦渋の決断を下さざるを得ない状況に至りました」と述べられている。

同館は、全職員を対象にした「自主退職制度」を導入するとともに、費用対効果の観点から継続が正当化できない「複数の活動」を停止することを決定したが、対象となる具体的なプログラムは明らかにしていない。アートニュースペーパーによると、現在の赤字額は約200万ポンド(約4億2000万円)であり、自主退職による削減効果が不十分な場合には解雇の可能性もあるという。

この発表のわずか2カ月前に同館は、20世紀および21世紀美術のコレクション強化と、それらを収蔵する新館建設を目的とした新プロジェクト「Project Domani」のため、10億ドル(約1500億円)規模の資金調達キャンペーンを開始していた。開始当時、すでに目標額の約半分は達成されていた。今回の声明では改めて、キャンペーンで集めた資金は「Project Domani」の目的に限定して使用されるものであると説明されている。

同館はまた、創立200周年を記念して昨年5月、3年間と1億1300万ドル(約173億円)を改修に投じたセインズベリー・ウィングを再オープンしている。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、2024〜2025年度の来館者数が約320万人に達しているように、世界でも有数の入館者数を誇る。さらに、9500万ポンド(約198億円)を費やし年間を通じた記念フェスティバル「NG200」も開催したが、この資金も同プログラム専用のものだった。声明は、次のように結ばれている。

「困難な状況にあることは間違いないが、私たちは世界が変化したことを認識し、それに対応していかなければなりません。将来に向けてギャラリーを持続可能なものとするためにも、いま、厳しい決断を下す必要があるのです」

(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい