財政難のロイヤル・アカデミー、オークションで5億円調達へ。エル・アナツイらの作品を出品
ロンドンの美術機関ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(RA)は、3月4日と5日に開催されるサザビーズのオークションに10作品を出品する。RAはパンデミック以降、財政難に直面しており、この売上を財政基盤の立て直しに用いる予定だ。

ロンドンの美術機関、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(RA)は、サザビーズの協力のもと、資金調達を目的としてオークションに参加する。
RAによるオークションプロジェクト「RA: Artists Supporting Artists(RA:アーティストがアーティストを支える)」として、いずれも現役または名誉ロイヤル・アカデミー会員である作家本人から寄贈された作品計10点を出品する。3月4日にサザビーズ・ロンドンで開催されるイブニングセール「Modern & Contemporary Evening Auction」では、エル・アナツイによるタペストリー《G6》(2023)が80万〜120万ポンド(1億6700万円~2億5000万円)、ショーン・スカリーの油彩画《Tappan Deep Brown Blue》(2025)が60万〜80万ポンド(1億2500万円~1億6700万円)の予想落札価格で出品される。翌5日の「Contemporary Day Auction」では、ウィリアム・ケントリッジ、トニー・クラッグ、ゲオルク・バゼリッツ、アニッシュ・カプーア、ミンモ・パラディーノ、ジェフ・クーンズらの作品が競りにかけられ、総予想落札額は約260万ポンド(約5億4000万円)。
RAは1768年、ジョシュア・レノルズやリチャード・ウィルソンらが中心となり、芸術家が作品を共に展示し交流する場を持つために創設された。翌1769年初頭には美術学校ロイヤル・アカデミー・スクール(RAスクール)が設立された。同校の出身者には、J.M.W.ターナー、ジョン・コンスタブル、ヘンリー・ムーアをはじめ、現代ではトレイシー・エミンやフィオナ・レイらが名を連ねる。
RA会長のレベッカ・ソルターは、「彼らが築いたのは、ある世代の芸術家が次の世代を支援し育成するための優れた仕組みでした。そしてそれこそが、実質的に今日私たちが行っていることでもあります」と語る。RAスクールでは現役のRA会員が指導にあたり、授業料は無料。少人数制の大学院レベルの教育を現在も提供し続けている。
現在、RAは政府からの資金援助を受けておらず、スポンサーシップや展覧会のチケット収入に大きく依存している。しかしパンデミックにより収入は激減し、ガーディアン紙によれば、2022年に展覧会再開を果たしたものの、年間来館者数は2019年の125万人からほぼ半減。2023年には71万人まで回復したが、2024年には再び62万2000人に減少している。
昨年、RAはコスト削減策の一環として、全従業員の約18パーセントに相当する約60人の職員削減を検討していると発表し、大規模な抗議を招いた。現時点で削減は実行されていない。
RAは、これまでもサザビーズの支援を受けて独自のチャリティーオークションを行ってきたが、サザビーズ・ヨーロッパ会長のオリヴァー・バーカーは、「(RAのオークションを)主要なオークション・シーズンの本舞台に持ち込むのは今回が初めて」と述べている。
一方で、ロイヤル・アカデミー・トラスト会長のバティア・オファーはアート・ニュースペーパーに対し、「創造性が花開き、アーティストが自らのビジョンを実現できる場としてのロイヤル・アカデミーの未来を確かなものにするために、十分な資金調達が不可欠」と語った。
バーカーはRAとの協力関係について、サザビーズのブランド価値向上に繋がることを認め、以下のように話した。
「これは慈善的な取り組みであり、私たちが支援しているコミュニティへの還元でもあります。同時に私たちは、サザビーズが提供する会員制のロイヤリティ/特典プログラム『プリファード・プログラム』などのさまざまな仕組みを通じた美術館支援を行うことで、顧客に世界有数の主要機関への特別なアクセスを提供しています。つまり、双方にとってメリットがあるのです」(翻訳:編集部)
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