2026年のカーネギー・インターナショナルが参加作家を発表。「私たち」をテーマに61組が集結

ピッツバーグのカーネギー美術館でアメリカ最古の芸術祭、「カーネギー・インターナショナル」が5月に開幕する。世界各地から61組のアーティストが集結する。

カーネギー・インターナショナルエリック・ギャンフィ(Eric Gyamfi)。写真は《Trade winds and shadow objects; north by southeast》(2021)。Photo: Red Clay Studio, Tamale, Ghana
カーネギー・インターナショナルエリック・ギャンフィ(Eric Gyamfi)。写真は《Trade winds and shadow objects; north by southeast》(2021)。Photo: Red Clay Studio, Tamale, Ghana

今年5月、4年に一度開催される「カーネギー・インターナショナル」の2026年版が開幕する。過去最大規模となる今回は、フィリピンからペルーまで世界各地を拠点とする61組のアーティストが参加し、その多くが5月2日の開幕に合わせて新作を披露する。

1896年に始まったカーネギー・インターナショナルは、アメリカ最古の定期開催型の芸術祭だ。ニューヨークで開催されるホイットニー・ビエンナーレほど一般的な知名度は高くないかもしれないが、本展は国際的なアーティストをアメリカの観客に紹介する場として、長年重要な役割を担ってきた。

カーネギー・インターナショナルは、かつてヨーロッパのモダニズム美術を国内に紹介する役割を担っていた。しかし近年は、グローバル・サウス出身のアーティストに焦点を当てた展覧会として知られている。今回の参加者には、2024年のヴェネチア・ビエンナーレで注目されたアルゼンチン先住民族の女性織工グループ「シラット(Silät)」、ドクメンタ14でパフォーマンス作品を披露したサンチャヤン・ゴーシュ(Sanchayan Ghosh)、場所に宿る記憶を探究するペルー人画家アルトゥーロ・カメーヤ(Arturo Kameya)などが名を連ねる。さらに、ターナー賞候補のジャスリーン・カウル(Jasleen Kaur)や映像作家のウー・ツァン(Wu Tsang)も参加する。

テーマは「If the word we」

今回のカーネギー・インターナショナルでは、36人のアーティストが新作を発表する。本展のキュレーションを担当するのは、カーネギー美術館のライアン・イノウエとリズ・パーク、そしてニューヨークのアーティスツ・スペースのキュレーター、ダニエル・A・ジャクソンだ。展覧会タイトルは「If the word we(もし『私たち』という言葉が)」で、多様性と流動性をテーマとしている。

「『私たち(We)』という言葉は複雑かつ異質な立ち位置にあり、私たち3人は周囲の気配を感じ取りながら、生の矛盾を乗り越えていきます」と3人は声明文に記している。展覧会名は、カタログのために書き下ろされたハイサム・エル=ワルダニのエッセイからの引用に由来するという。

ハリール・ラバーフ《Renewed Belief (still)》(1999) Photo: Courtesy of the artist and Sfeir-Semler Gallery
ハリール・ラバーフ《Renewed Belief (still)》(1999) Photo: Courtesy of the artist and Sfeir-Semler Gallery

カーネギー博物館群のバイスプレジデントを務め、カーネギー美術館館長を務めるエリック・クロスビーによれば、世界各地のアーティストを集めたのは意図的だったという。クロスビーはUS版ARTnewsにこう語る。

「私たちが見ているのは、現代アートの一断面ではなく、無限に広がる世界です。そして今回のような展覧会には、その世界を広く伝えるためのキュラトリアル・リサーチの基盤を築くことが不可欠だと考えています」

芸術祭どうしの対話を生み出す

3人のキュレーターはリサーチのため、アメリカ国内にとどまらずインドネシア、ノルウェー、ブラジルなど世界各地を訪れた。その過程は展覧会の構成にも反映され、会場はカーネギー美術館だけでなく、複数の施設に広がる異例の形となっている。

アルトゥーロ・カメーヤ《Whatever comes first》(2024)Photo: Alex Marks/Courtesy of the artist, Prospect 6, and Grimm, London, New York, and Amsterdam
アルトゥーロ・カメーヤ《Whatever comes first》(2024)Photo: Alex Marks/Courtesy of the artist, Prospect 6, and Grimm, London, New York, and Amsterdam

例えば、アメリカ人彫刻家のトークワス・ダイソンは、カミン科学センターのプラネタリウムにインスタレーションを展示する。また、カメーヤとクラウディア・マルティネス・ガライは、マットレス・ファクトリーでインスタレーションを手掛ける。さらに地元のアーティストや団体も参加する予定だ。1927年に東京で創設され、ピッツバーグにも生花教室を構える草月流もその一つで、創始者・勅使河原蒼風の作品はカーネギー美術館で展示される。

今年は、ヴェネチア・ビエンナーレをはじめ、ビエンナーレ形式の大型展が各地で相次ぐ年でもある。サウジアラビアではディリヤ・ビエンナーレが1月から開催され、3月にはホイットニー・ビエンナーレとシドニー・ビエンナーレが開幕する。さらに、5年に一度開催されるグレーター・ニューヨークや韓国の光州ビエンナーレも予定されている。

こうした大型展がひしめく中で、カーネギー・インターナショナルをどう位置付けるのか。クロスビーは、差別化よりも「芸術祭の間にどんな対話が生まれるか」が重要だと語る。さらに「傾聴の空間としての『私たち』という枠組みそのものが、複数のビエンナーレが共存する余地を生み出しているのではないか」と付け加えた。

今回のカーネギー・インターナショナルと、すでにアーティスト・リストを公表している他のビエンナーレとの間に、参加者の重複がほとんど見られないのは、注目すべき点だ。参加アーティストの一覧はこちら。(翻訳:編集部)

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