不正は「統計的に避けられない」?──巨額チケット詐欺事件のルーブル美術館、関係者が発言

ルーブル美術館のチケット詐欺で中国人ガイドや同館職員ら9人が逮捕された事件について、不正の標的になるのは「避けられない」ことだとする同館関係者の発言が伝えられた。一方で、美術館の警備体制には改善の余地があることを認めている。

世界一の来場者数を誇るルーブル美術館。Photo Graham Denholm/Getty Images

年間の入場者が約900万人にのぼるフランスルーブル美術館は、昨年4月に発表された世界の美術館入場者数ランキング(2024年対象)でも1位の座を守っている。その世界一の美術館で先週、10年にわたる大規模なチケット詐欺が発覚。被害額は1000万ユーロ(18億円超)と報じられた。

同館の管理部門責任者であるキム・ファムはAP通信の取材に対し、巨大美術館での詐欺犯罪は「統計的に避けられない」ことだと述べている。しかし、こうした事例のあった他の大規模美術館はどこかとの問いには答えなかった。

ルーブル美術館は広さ約8万6000平方メートル、所蔵品は約3万5000点に及ぶ。その日常業務を監督する立場にあるファムは、「世界のどの美術館であっても、これほどの入場者数があれば時に不正問題が生じるのではないでしょうか」とコメントしている。

パリの検察当局は先週、巨額のチケット詐欺に関与した疑いで、美術館職員2人を含む9人を逮捕。12日の発表によると、現金95万7000ユーロ(約1億7400万円)以上と6万7000ユーロ(約1200万円)相当の外貨を押収し、48万6000ユーロ(約8800万円)あまりの残高がある銀行口座が差し押さえられた。また、ヴェルサイユ宮殿も捜査の対象になっていることが示唆されている。

当局によると、2人の中国人ツアーガイドが美術館職員と共謀し、同じチケットを使い回して団体客を入場させる不正を繰り返していたという。2024年12月の通報を受けて行われた監視カメラと電話傍受による捜査で、ツアーガイドが職員に賄賂を渡してチケットの売り上げを着服する手助けをさせていたことが確認された。

ファムは、ルーブル美術館の損失額への言及は避けた。しかし、歴史的な宝飾品窃盗事件からわずか数カ月のうちに巨額不正が発覚したのは、ずさんな組織管理に理由があるのではないかとの見方を否定している。

「端的に言えば、ルーブルは世界最大の美術館です。複雑な組織運営の中で問題が生じても不思議ではありません」。その一方で、同館の警備体制には改善の余地があると認め、こう続けた。

「我われが全てを完璧にこなしているとか、過去も完璧だったとは言いません。私が言いたいのは、不正との戦いは常に行われているということです」

2月12日付の仏ル・パリジャン紙によると、ルーブル美術館は「チケット詐欺の再燃と多様化に対応するため、体系的な不正対策を実施」し、「予防的・是正的措置の結果を注視」しながら対応を進めていると説明。現在進行中の捜査は、「不正防止の一環として美術館が通報し、美術館関係者と警察が連携しながら続けられていた」という。

これを受け、組織的詐欺および資金洗浄、公職者による能動的・受動的な汚職、不法入国・滞在の組織的幇助、偽造行政文書使用などの容疑で、昨年6月に正式な司法捜査が開始されていた。(翻訳:石井佳子)

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