古代エジプト墓地で、神に仕えた女性たちの木棺を発見──アメン神信仰の実態に迫る

ルクソール近郊で調査を行っていた考古学者たちが、エジプト第三中間期に遡る未盗掘の彩色木棺22体を発見した。その多くが「アメン神の女詠唱者」のものであり、当時の信仰に関する新たな知見が得られると期待されている。

部屋に積み重ねられた彩色木棺。Photo: Ministry of Tourism and Antiquities.

エジプト考古最高評議会とザヒ・ハワス考古・遺産財団が連携する調査団は、ルクソール近郊で彩色木棺22体を発見したと、デイリー・ニュース・エジプト紙が報じた。

考古学者たちは、ナイル川西岸に位置し、ファラオ時代に王や官僚、貴族が埋葬されたテーベのネクロポリスにある既知の墓の発掘調査を行っていた。岩を切り出して造られた長方形の部屋の内部で、彩色された木棺22体が、蓋を外された状態で10列に整然と水平に積み重ねられているのを発見した。棺の中にはミイラが納められたままだった。

ほとんどの棺には個人名は記されていないが、その多くには、当時の神殿における歌手や宗教的詠唱者を意味する職業上の称号「詠唱者」または「アメン神の女詠唱者」と記されていた。木棺が積み重ねられていた理由について、考古学者たちは、何らかの理由で元の場所から移動されたためと考えている。

調査の結果、これらの棺はエジプト第三中間期(紀元前1077-紀元前664)に遡ることが分かった。第三中間期の墓は盗掘にあったり事情により移動され空になっていることが多いため、今回の発見は非常に貴重だ。調査団長のザヒ・ハワスはこの発見を「極めて特筆すべきもの」と評し、「新たな知見をもたらす」と期待を寄せた。

また、同じ場所からは大きな陶器の壺に入った8点のパピルスが見つかっており、その一部には元の粘土の封印が残っていた。これらのパピルスからも重要な情報が得られるだろう。

第三中間期において、アメン神はエジプトで最も強力な神々の一柱となっており、テーベのアメン神大司祭は中部および上エジプトを支配していた。エジプト考古最高評議会事務総長のヒシャム・エル=レイシーは、研究者たちは現在この埋葬群の解明に取り組んでおり、当時強大な力を持っていたアメン信仰における神殿詠唱者の地位や重要性について新たな発見がなされるであろうと述べている。(翻訳:編集部)

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