バスキア史上最高額作品、W杯開催のマイアミで公開へ──前澤友作から米コレクターが取得

ジャン=ミシェル・バスキアの個人蔵の作品約10点を集めた特別展が、6月25日からペレス・アート・ミュージアム・マイアミで開催される。マイアミで6~7月に開催されるFIFAワールドカップ2026の7試合を目指して訪れる観客を、展覧会にも動員することを狙っている。

ジャン=ミシェル・バスキア《Untitled (Skull)》(1982) Photo: Made possible by the Kenneth C. Griffin Collection. Artwork: ©Estate of Jean-Michel Basquiat, Licensed by Artestar, New York; Image: Courtesy Sotheby’s, Inc., ©2026

3月31日、ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ(PAMM)が、ジャン=ミシェル・バスキア作品約10点による展覧会の開催を発表した。出展作は世界有数のコレクターであるケネス・C・グリフィンの所蔵品から選りすぐられたものだ。

6月25日にマイアミで始まる特別展「Basquiat: Figures, Signs, Symbols(バスキア:人物、記号、シンボル)」で展示されるのは絵画9点と彫刻1点で、PAMMのプレスリリースによると「肖像画や人物、文字や言語といった古典的なテーマの表現や、色彩、形態、構図の概念的な増幅」に焦点が当てられるという。

同展は、グリフィンが主宰する市民参加イニシアチブ、「グリフィン・カタリスト」の支援で開催される。グリフィン・コレクションのキュレーターであるメーガン・キンケイドとともに企画を担当するのは、2005年にブルックリン美術館で幕を開けたバスキアの巡回展で共同キュレーターを務めた現PAMM館長のフランクリン・サーマンスだ。そのサーマンスは声明で次のように述べている。

「PAMMでこの展覧会を開催するのは、必然かつ不可欠なことに感じられます。マイアミの重層的な歴史、ディアスポラのコミュニティ、そしてグローバルな視点が、記憶、移民、文化的ハイブリッド性に根ざしたバスキアの視覚言語を、特別な深みと臨場感をもって体験できる環境を創り出すのです」

グリフィンが貸し出す作品の中には、《Untitled (Skull)(無題 [スカル] )》(1982)が含まれている。この作品は、2017年5月に日本の実業家・前澤友作サザビーズオークションで1億1050万ドル(約123億円)で落札したもので、現在もバスキアのオークション最高記録を維持している。前澤はその前年にもバスキアの《Untitled (Devil)(無題 [デビル] )》をクリスティーズで5730万ドル(約62億円)で落札していた。その後、前澤は《Untitled (Skull)》を2億ドル(約310億円)でグリフィンに売却したと、2024年5月にアートネット・ニュースが報じている(円換算額は落札・売却当時の為替レートによる)。

ほかに展示が予定されている作品には、「歪んだ骸骨のような人物」を描いた《Untitled (Tenant)(無題 [テナント])》(1982)、玩具付きキャンディの容器を描いた《Pez Dispenser(ペッツディスペンサー)》(1984)や《In Italian(イン・イタリアン)》(1983)などがある。PAMMのプレスリリースによると、《In Italian》は「肖像であり、習作であり、言語的パズルであり、イタリア・ルネサンスに特徴的な解剖学的探求への取り組みを映し出す自伝的記録」でもあるとされる。サーマンスの声明では、展覧会への抱負がこう語られている。

「今こそ、ジャン=ミシェル・バスキアを単なる市場現象やポップアイコンとしてではなく、絵画と造形における妥協のない独学の巨人として再評価する絶好の機会です。通常はじっくり見る機会の少ない作品を一堂に集めることで、時間をかけて入念に鑑賞してもらいたいと考えています。世界的に名が知られているものの、その複雑さゆえに一層の研究が求められるこのアーティストを、新たな視点から理解するきっかけとなるでしょう」

マイアミでのバスキア展は、それだけでも大きな話題を呼び、来場者が列をなすことが予想される。さらにPAMMでは、ワールドカップ観戦のためにマイアミを訪れる人々が、美術館にも足を運んでくれることを期待している。マイアミでは、7月18日の3位決定戦を含む7試合が開催予定だが(そのうちグループステージの3試合が6月25日の展覧会開幕日より前に行われる)、こうしたタイミングで特別展を開くことについてグリフィンは声明で次のように述べている。

「マイアミがFIFAワールドカップで世界中から観客を迎える中、PAMMはアメリカ大陸各地の視覚芸術を体験できるまたとない機会を提供します。そして、アメリカを代表するアーティストの1人であるジャン=ミシェル・バスキアの傑作を、PAMMとのパートナーシップで紹介できることを誇りに思います。彼の芸術には、コミュニティや世代を超えて人々をつなぐ独自の力があるのです」(翻訳:石井佳子)

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