隈研吾が英ナショナル・ギャラリー新棟を設計へ──2030年代開館、総工費743億円の大型計画

ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、新棟の設計者に隈研吾建築都市設計事務所を選定した。20〜21世紀美術の展示拡充を目的とする大型計画で、開館は2030年代前半を見込む。

隈研吾が設計したナショナル・ギャラリー新棟の完成予想図。Photo: Kin Creatives/Courtesy National Gallery
隈研吾が設計したナショナル・ギャラリー新棟の完成予想図。Photo: Kin Creatives/Courtesy National Gallery

ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、新棟の設計者として隈研吾建築都市設計事務所を選定した。この新棟は総額7億5000万ポンド(約1600億円)を投じる大型プロジェクト「プロジェクト・ドマーニ」の一環で、主に20世紀・21世紀の作品を展示する施設となる予定だ。

本プロジェクトで隈研吾は、イギリスに拠点を置く建築事務所ビルディング・デザイン・パートナーシップ(BDP)およびMICAと協働する。新棟は、現在シスルホテルが入居するセント・ヴィンセント・ハウスの敷地に建設される計画で、同建物は拡張に伴い取り壊される。アート・ニュースペーパーによれば、新棟の開館は2030年代前半を見込み、約1400平方メートルの展示スペースが新たに加わるという。

建設費は推定3億5000万ポンド(約743億円)とされ、残りの約4億ポンド(約850億円)は、1900年以降の作品の収蔵および新棟の運営基金の設立に充てられる予定だ。

昨年12月には最終候補として6案が選ばれ、そのなかには、ナショナル・ギャラリーのセインズベリー・ウィング改修やニューヨークのフリック・コレクション改修を手がけたセルドルフ・アーキテクツ、香港国際空港や西九龍文化地区を設計したフォスター・アンド・パートナーズ、ホイットニー美術館シカゴ美術館などの増築を手がけたレンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップが含まれていた。ピアノとフォスターはいずれも建築界最高の栄誉であるプリツカー賞を受賞している。

こうした錚々たる顔ぶれの中で、隈は有力候補とは見られていなかった。しかし、同館理事長ジョン・ブースが率いる審査委員会は隈の設計案を最高評価とし、「手本となる出来栄え」と評した。

審査委員会は声明で、隈の設計を「革新的かつ美しい」と評価し、「周囲の街路への配慮と自然光を建物内に取り込む工夫」が見られると述べた。設計案にはレスター・スクエアとトラファルガー・スクエアの間に新たな歩行者空間を設ける構想や、屋上庭園の整備も含まれている。ナショナル・ギャラリー館長のガブリエル・フィナルディも、隈の設計について次のように語っている。

「建築家としての隈研吾の歩みは、卓越したデザインの洗練、場所と歴史への鋭い感受性、そして光と素材の極めて美しい扱いを示している」

(翻訳:編集部)

from ARTnews

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