ギリシャが美術犯罪に特化した新法を導入──贋作や美術品破壊に最大5000万円超の罰金
ギリシャが文化財を贋作や破壊行為から守るための新たな法制度を導入した。贋作の定義拡大や専門機関の設立を通じて、アート市場の信頼性向上を図る。
ギリシャは、文化財を贋作や破壊行為から保護するための大規模な新法を導入した。同国にとって、美術品や収集品に関する犯罪を包括的に取り締まる初の法的枠組みとなる。
1月下旬に議会で承認されたこの法案は、罪の重さに応じた厳格な刑事罰が規定されており、6カ月から10年の禁錮・懲役刑に加え、最も悪質なケースでは最高30万ユーロ(約5580万円)の罰金が科される。さらに、美術詐欺罪の定義を拡大し、来歴や保存状態、帰属に関する問題も対象に含めた。加えて、保護対象となる文化財の定義を明確化し、「歴史的に重要な映画館」にまで適用範囲を広げている。この新法に基づき、贋作と認定された作品は破棄の対象となる。
注目すべき点は、この法律によって、文化省内に贋作の専門家による独立登録機関が設立され、作品の鑑定と記録が行われることだ。この取り組みによって、アート市場の信頼性向上が図られる見込みだ。同機関は、学術界、ビジネス界、法曹界の専門家と連携し、贋作の再流通を防ぐとともに、取引の透明性と来歴の確実性を高める。
この新法の導入により、ギリシャは従来の広範な偽造防止法から、美術犯罪に特化した法的枠組みへと移行する。膨大な文化財を有する同国では、長年にわたり贋作の大量流通や遺跡の略奪が問題となってきた。近年はこうした動きに対する取締りも強化されている。
2024年には、19〜21世紀を代表するアーティストの贋作の制作・販売に関与したとして、ヨーロッパ全土で詐欺師38人が告発された。これらの贋作は、イタリアのオークションハウスを経由して流通していたことが判明し、国境を越えた供給網の存在が浮き彫りになった。発端は、オークション出品予定だったギリシャ近代絵画の贋作120点以上が押収されたことにある。
2025年には美術品の破壊事件も起きている。極右政党「勝利」に所属する国会議員ニコラオス・パパドプロスが、ギリシャ人アーティスト、クリストフォロス・カツァディオティスの作品4点を破壊したとして一時的に拘束された。うち3点はキリスト教の聖像を模した作品だった。(翻訳:編集部)
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