評価額64億円のピカソ作品、サザビーズの5月セールに登場──過去80年で価格は約3300倍

パブロ・ピカソキュビスムの時代に制作した絵画が、5月にニューヨークサザビーズで開催される主要オークションに出品される。道化師を描いたこの作品には、約64億円の価値があると評価されている。

パブロ・ピカソ《Arlequin (Buste)》(1909)。サザビーズが同作のオークションを試みるのは2008年に続き2回目。Photo: Leon Neal/AFP via Getty Images

シュルレアリストの画家エンリコ・ドナティと、昨年亡くなったその妻アデルのコレクションに収められていたパブロ・ピカソの《Arlequin (Buste)(アルルカン [胸像] )》(1909)が、5月19日にサザビーズニューヨークで開催される「モダン・イブニング・オークション」に出品される。立体的な幾何学的形状の連なりの中から道化師が現れ出てくるように見える同作は、今シーズンの主要オークションに出品されるピカソ作品の中でも、最高レベルの落札額となる可能性が高い。

サザビーズは4月13日に、作品評価額が4000万ドル(最近の為替レートで約64億円、以下同)前後であることを明らかにした。パリの国立近代美術館でこの絵に一目惚れしたエンリコは、ピカソと関係が深かった画商の1人、ダニエル=ヘンリー・カーンワイラーを通じて1940年代に作品を手に入れている。購入時の価格は約1万2000ドル(約190万円)だったというから、それ以降、天文学的に価値が高まったことが分かる。

サザビーズにとって、同作をオークションにかける試みはこれで2回目だ。エンリコの死後間もない2008年、当時は3000万ドル(約48億円)以上の価値があるとされたが、同年11月の印象派・近代美術オークションのわずか1週間前に、突然出品が取り下げられた。それについてサザビーズは、「個人的な理由」とのみ説明している。

当時のニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、サザビーズではこの作品を「保証なし」としていた。一方、「保証付き」では、作品に買い手が付かなくてもオークションハウスが一定の金額で作品を購入することがあらかじめ出品者に保証される。この時はサザビーズ最大のライバルであるクリスティーズが、「保証付き」および「それ以外の資金条件」をドナティの遺産管理団体に提示したとされる。しかし結局、出品取り下げが可能という条件付きで、サザビーズでのオークションが決まった。

サザビーズの広報担当者はUS版ARTnewsの取材に対し、今回は取消不能入札という形での保証が付いていると回答した。取消不能入札とは、特定の買い手が事前に自らの提示した金額(非公開)で購入することを保証する取り決めで、オークションでそれより高い金額の入札者が現れない限り取り消すことはできない。

なお、ドナティ・コレクションからは、さらに13点がサザビーズのオークションに出品される予定で、うち2点はピカソ作品と同じ5月19日のオークションに出品される。1つは、ワシリー・カンディンスキーの抽象画《Rote Tiefe》(1925)で、予想落札価格は1200万ドルから1800万ドル(約19億〜29億円)。もう1点は、1939年にイヴ・タンギーが制作した《Aux Aguets le jour》で、予想額80万~120万ドル(約1億2700万〜1億9000万円)となっている。

サザビーズではこのほかにも、予想最高落札価格100万ドル(約1億5900万円)のアレクサンダー・カルダーのスタビル作品(無題)が、5月20日に行われる「モダン・デイ・オークション」に出品される予定。また、6月18日に行われるアフリカ・オセアニア・アメリカ大陸の美術品オークションには、19世紀の2点の仮面(1つはアラスカ先住民のアーティストによるもの、もう1つはコートジボアールのベテ・グロの作家によるもの)などが出品される。(翻訳:石井佳子)

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