カイロの古代墓地で副葬品を多数発見。ローマ時代から初期キリスト教時代への移行を探る手がかりに

エジプト・カイロ東部の古代墓地から、鏡や護符、金製イヤリングなど多数の副葬品が出土した。エジプト有数の宗教都市における葬送慣習の解明につながる成果として注目を集めている。

エジプト・パネヘシ墓地で見つかった遺物。Photo: Facebook/Ministry of Tourism and Antiquities

カイロの古代墓地を発掘していたエジプト最高考古評議会の調査チームが、副葬品の一群を発見した。エジプト有数の宗教都市における葬送慣習の解明につながる成果として注目を集めている。

エジプト観光・考古省によると、副葬品群はアイン・シャムス地区にあるパネヘシ墓地で見つかった。アイン・シャムスは、長期にわたり太陽神ラー信仰の中心地として栄えた古代都市ヘリオポリスの近隣に位置する地区で、その広大なネクロポリス(大規模墓地)の一角にパネヘシ墓地はある。

調査チームは、遺体が残る日干しレンガ造りの墓の下から副葬品を発掘した。これらは埋葬の際に意図的に納められたものとみられ、銅製の鏡や、当時の内容物の痕跡が残るアラバスター製の容器数点、黒曜石を加工して作られた容器などが含まれていた。

さらに、青いファイアンス(釉薬を施した陶製品)製の容器や、ミニチュアの祭礼用小壺、アヒルやアテフ冠(オシリス神が着用するとされる白冠に羽根飾りを組み合わせた冠)をかたどったアミュレット(護符)、装飾用の石、金製とみられるイヤリング数組も見つかった。小壺の一部には、同じく金製とみられる金具による装飾が施されていたという。

エジプト・パネヘシ墓地で見つかった遺物。Photo: Facebook/Ministry of Tourism and Antiquities
エジプト・パネヘシ墓地で見つかった遺物。Photo: Facebook/Ministry of Tourism and Antiquities
エジプト・パネヘシ墓地で見つかった遺物。Photo: Facebook/Ministry of Tourism and Antiquities

今回の発見は、この墓地でこれまでに得られてきた成果に新たな1ページを加えるものとなった。調査チームはこれまでにも、日干しレンガや石灰岩で造られた墓の構造、棺の破片、銘文が刻まれた石灰岩のブロック、ローマ時代のコインなどを確認している。赤い文様で彩られた棺の一つからは人骨が見つかっており、研究者らは軍人の遺骸である可能性を指摘している。

研究者らがこの墓地を特に重要視する理由は、ローマ時代から初期キリスト教時代への移行期にも継続して利用されていた点にある。エジプト社会に大きな宗教的・社会的変革が起きたこの時代に、葬送慣習がどのように変化し、あるいは維持されたのかを知るうえで貴重な手がかりとなる。

発掘調査は現在も続いている。考古学チームは今後の調査を通じて、この地に葬られた人々の実像や、ヘリオポリス末期において墓地が果たした役割を、より明らかにできると期待している。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい