訃報:彫刻家の戸谷成雄が78歳で死去。戦後日本彫刻の再構築に挑み独自の実践を展開
日本の現代彫刻を代表する作家、戸谷成雄(とや・しげお)が4月15日、都内の病院で肺炎のため死去した。78歳だった。

日本の現代彫刻を牽引し続けてきた作家、戸谷成雄が4月15日、都内の病院で肺炎のため死去したと、所属ギャラリーのShugoartsが発表した。78歳だった。
1947年長野県に生まれた戸谷は、愛知県立芸術大学で学び、ポストミニマリズムやもの派以降、一度解体された「彫刻」の再構築を試みる独自の実践を展開した。1984年に始まった「森」シリーズでは、木材をチェーンソーで削り出す前例のない手法によって彫刻の新たな可能性を提示し、国内外で高い評価を得た。
1998年には埼玉県秩父郡皆野町に自ら設計したアトリエを構え、以後、落ち着いた自然環境の中で彫刻をめぐる思索を深めながら制作を続けた。同時に教育者としても活動し、長年にわたり武蔵野美術大学彫刻学科で後進の育成に尽力。名誉教授として晩年までその任を担った。

国際的には、1988年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館をはじめ、1993年のアジア・パシフィック・トリエンナーレ、2000年の光州ビエンナーレなどに出品。近年では2022年から23年にかけて、長野県立美術館および埼玉県立近代美術館で巡回開催された大規模個展「戸谷成雄 彫刻」において、初期から近作までが網羅的に紹介され、その存在が日本現代彫刻史における重要な位置を占めることをあらためて示した。
プレスリリースで、Shugoarts代表の佐谷周吾は戸谷の訃報を次のように悼んだ。
これまで数多くの個展やグループ展を通じて戸谷氏と仕事をご一緒できたことは、たいへん名誉なことであり、この上ない喜びでした。彫刻を難しいものと感じていた40年前、父・和彦が主宰する佐谷画廊を手伝い始めた頃に戸谷氏と出会いました。以来折りに触れて、彫刻芸術の革新から手仕事の重み、また社会性や歴史性に関わることなど、多くのことを教わり続けてきました。戸谷氏の彫刻愛の強さと深さには目を見張るものがあり、制作に臨む姿勢は厳しく、同時にその優しさもまた格別のものでした。
芸術表現の根元に遡りながらも、現代に可能な彫刻表現を問い続け、世界の成り立ちと人間の存在を考え続けながら、それを制作に反映しようとする戸谷氏の姿勢は、私たちにとってかけがえのない指針であり続けるでしょう
家族の意向により、葬儀は近親者のみで執り行われた。6月には「偲ぶ会」の開催が予定されている。