箱根・彫刻の森美術館、草間彌生《われは南瓜》を新収蔵──国内唯一の草間の石彫

箱根の山並みを望む彫刻の森美術館に、草間彌生の《われは南瓜》(2013)が新たに加わった。国内で草間の石彫作品を鑑賞できる唯一の場所となる。

草間彌⽣《われは南⽠》(2013) ©YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts

箱根・彫刻の森美術館が草間彌生《われは南瓜》(2013)を新収蔵した。国内で草間の石彫作品を鑑賞できるのは同館だけだ。

草間の代表的モチーフのひとつであるかぼちゃを、花崗岩を素材に用いてユーモラスな造形で表現した本作は、2013年より彫刻の森芸術文化財団の監修のもと東京の「丸の内ストリートギャラリー」にて展示されてきた。2025年に同館が購入することとなり、新たな展示場所として満場一致で選ばれたのは、The Hakone Open-Air Museum Caféに隣接する箱根の山々を見渡すエリアだ。

現在97歳の草間が現地を訪れることは叶わなかったが、設置場所の報告を受けた草間は、スタッフを通じて、青と黄色の水玉模様のモザイクタイルの床および水玉模様を彫り込んだ大理石の台座デザインを指定したという。

草間彌⽣《われは南⽠》(2013)
©YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts
2013年、制作当時のインタビュー映像より。
©YAYOI KUSAMA
The Hakone Open-Air Museum Caféの様子。©YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts
丸太広場 キトキで展示されている草間彌生《南瓜》(2017)。
©YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts
彫刻を眺めるために新たにベンチも設置された。

4月18日に行われた記者会見では、2013年の制作当時から本作に関わってきた彫刻の森芸術文化財団の坂本浩章が、《われは南瓜》というタイトルについて言及。草間がかぼちゃを自らになぞらえ、「存在感があってかわいいでしょう」と語っていたことを明かした。あわせて、かぼちゃには「愛によって世界を包み、救うという平和へのメッセージが込められている」と述べた。

草間は、1962年に布などを用いた新たな彫刻表現「ソフト・スカルプチャー」を発表して以来、さまざまな素材による制作を続けてきた。2013年に収録されたインタビューでは、中でも珍しい石彫に挑んだ思いをこう語っている。

「私は草間彌生イズムの創作として作品を作ってきました。石による彫刻に取り組んだのは、草間彌生の新しい世界を切り開きたいと考えたからです。この奇妙なかぼちゃの作品をご覧になり、心を動かしていただけたなら、これほど嬉しいことはありません」

「かぼちゃはユーモラスで愛らしい存在ですが、この作品は人間のような魂を持ち、私たちに語りかけてきます。そのことを感じ取っていただけたら、とても嬉しく思います」

作品を見下ろす木立の中には、新たなベンチエリアも設けられた。円形に配置されたベンチに腰掛ければ、木漏れ日とそよ風に包まれながら、ゆっくりと彫刻との対話を楽しむことができる。

また関連企画として、The Hakone Open-Air Museum Café2階の「丸太広場 キトキ」では、2026年11月1日まで赤と白のバルーンによる《南瓜》(2017)のインスタレーションを展示している。あわせて、2013年に収録された草間のインタビュー映像も上映中だ。

彫刻の森美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121
時間:9:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:なし

あわせて読みたい