世界最古の巨石神殿、トルコ・シリア大地震での損壊なし
トルコ南東部のシリア国境付近で発生したマグニチュード7.8の地震で、現地は甚大な被害に見舞われた。多数の古代遺跡も損傷を受けている中、世界最古の巨石建造物遺跡とされるギョベクリ・テペは、損壊を免れたことが分かった。
2月6日未明にトルコのガジアンテプの西を震源とする大地震が発生。14日時点の報道では、トルコ・シリア両国の死者は3万5000人を超え、被災者数はおよそ2600万人に上るとされる。
建物の被害も深刻で、その中には2000年の歴史を持つガジアンテプ城などの歴史的建造物も含まれる。
トルコ、シリアには数千年前の考古学的・文化的遺産が数多く存在する。中でも、シリアのアレッポやトルコのアンタキヤ(古代アンティオキア)は、考古学的発掘が継続的に行われている重要な都市だ。
ロイターの報道によると、シリア内戦で被害を受けていたアレッポの城塞では、オスマントルコ時代の製粉所跡やモスクの塔の一部が倒壊したという。
ユネスコの世界遺産に登録されているトルコのアルスランテペの墳丘では、泥にワラを混ぜた日干しレンガの壁が被害を受けた。さらに、古代ローマ人が築いたディヤルバクルの城壁や、聖ゲオルギオス教会の入り口でも、ひび割れが確認されている。
一方で、震源地から140キロほど東にあるギョベクリ・テペ遺跡の研究チームは、同遺跡が地震による損傷を受けていないとする声明を出した。
シャンルウルファ郊外の丘の上に位置するギョベクリ・テペ遺跡には、1万1500年前(新石器時代)の巨石建造物がある。ここは儀式に使われていたと見られることから、世界最古の神殿の1つに数えられている。
トルコの文化財・博物館総局の報告によると、被災地域の博物館や収蔵品に大きな被害や略奪はなかったとされるが、シリアも含めた文化遺産への影響については、現在も情報収集が続いている。(翻訳:石井佳子)
from ARTnews