ニックスを歴史的大逆転に導いたゲームボールが競売へ──5億円近い落札予想

今年のNBAファイナルでは、ニューヨーク・ニックスが実に53年ぶりとなるチャンピオンに輝いた。そのクライマックスとなった第4戦で、ニックスのOG・アヌノビーが最終盤に大逆転劇を決めたゲームボールがサザビーズオークションに登場する。

2026年6月10日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われた2026年NBAファイナル第4戦に107対106で勝利したニューヨーク・ニックスの選手たち。Photo: Getty Images

NBAファイナルで53年ぶりとなるニューヨーク・ニックス優勝の喜びに浸りたいニューヨーカーの多くは、記念Tシャツ(おそらくはマディソン・スクエア・ガーデンの外で売られている非正規品)で我慢するしかないだろう。しかし、数億円を投じる余裕のある熱狂的ファンなら、喉から手が出るほど欲しいと思うであろうニックス史上最大級の希少なアイテムが、6月30日に入札が開始されるサザビーズのオンラインオークションに出品される。

それは、ニックスがサンアントニオ・スパーズとの第4戦で試合を決めたプレーに使われたゲームボールだ。マディソン・スクエア・ガーデンで行われたこの試合でニックスは、29点差を覆す歴史的な大逆転劇を収めている。

このボールは、試合の残り2プレー目で使用された。フォワードのスター選手OG・アヌノビーが、ポイントガードのジェイレン・ブランソンのスリーポイントシュートのこぼれ球をティップインし、チームを107対106での劇的な勝利に導いたプレーだ。そして、NBAファイナル史上最大の逆転を決めたアヌノビーのティップインは、2日後にサンアントニオで行われた第5戦でニックスがシリーズを制する舞台へとつながった。

サザビーズは予想落札価格を公表していないが、スポーツビジネス・アナリストのダレン・ロベルは、300万ドル(約4億8000万円)と予想している。

The Hand of OG(OGの手)」とサザビーズが名付けたこのボールは、今回のNBAファイナルに関連した35点のアイテムとともに、同社の「NBA Auctions Premier: 2026 Finals(NBAオークションズ プレミア:2026ファイナルズ)」セールに登場する。その他の出品物には、ファイナルの複数の試合で使用されたユニフォーム、第1戦と第5戦で使用されたゴールネット、コートの一部などが含まれる。

同セールのほかにも、サザビーズとNBAとの公式パートナーシップによるオークションが、この先数週間にわたって開催される。合計109点のアイテムが出品される予定だが、その大半は今年のプレーオフで使用されたユニフォームだ。

サザビーズなどの大手オークションハウスの主力事業が、今も美術品であることに変わりはない。しかし、そうした大手がコレクター層の拡大を図る中で、スポーツ記念品やその他の分野のコレクターズアイテムが重要カテゴリーとして急速に台頭している。

US版ARTnewsが2月に公開した記事によると、クリスティーズの昨年の新規顧客の38%はハンドバッグ、ジュエリー、高級ワインおよび蒸留酒、クラシックカー、記念品などのラグジュアリー品を購入。一方、サザビーズの2025年の報告書で同様の数字は公表されていないが、昨年の入札者の35%が新規顧客だとされている。同記事の中でサザビーズ元社長兼CEOのタッド・スミスは、戦略的なロジックは明確だとコメントした。

「美術品のコレクターはラグジュアリー品の消費者でもありますが、ラグジュアリー品の消費者の大半は熱心なアートコレクターではありません。ラグジュアリー分野に注力すれば顧客基盤が拡大します。その結果としてオークションハウスはセール主導からマーケティング主導の運営へと転換し、やがて企業文化そのものも変化するでしょう」

クリスティーズの元CEOであるギヨーム・セルッティも同じく、ラグジュアリー品が新規顧客獲得の主な原動力となっているとして次のように述べている。

「目的は新規顧客の獲得だけではありません。それを機に、ほかのカテゴリー、特に美術品に興味を持ってもらえるよう彼らに働きかけることができます。ラグジュアリー品のオークションの多くはオンラインで行われるので、それを経験することで今まで敷居が高いと感じていた展示会やライブセールにも参加しやすくなるのです」

月末に始まるNBAファイナルのオークションで、「The Hand of OG」を手にするのはどんな人物だろう。第4戦のチケットは、最上段の席で3000ドル(約48万円)、コートサイドの席では10万ドル(約1600万円)近くもした(セレブ席の観客はチケット代を払っていないだろうが)。そうしたチケットに数万ドル払えるなら、伝説のボールを買う財力も持ち合わせているはずだ。

もし、落札者を当てる賭けをしなければならないとしたら、私は熱狂的なニックスファンであるスパイク・リーに賭ける。彼はこれまでも、アメリカのポップカルチャー史を象徴する作品を数多く収集しているからだ。「OGの手」はまさに、そうしたリーのコレクションにうってつけのアイテムだろう。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

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