デヴィッド・ボウイの新聖地が2025年に誕生! ラディカルな革新性を支えた数々の遺品を公開
ヴィクトリア&アルバート博物館が、永遠のロックスター、デヴィッド・ボウイの8万点を超える遺品の寄贈を受けた。これにより、ボウイの聖地がロンドンに誕生することになる。
2016年1月10日、28枚目にして最後のスタジオアルバム、『★(ブラックスター)』発売の2日後に肝臓がんのため69歳で死去したデヴィッド・ボウイ。その遺産から今回ヴィクトリア&アルバート博物館に寄贈されたのは、手書きの歌詞や手紙、楽器、そしてボウイにとって最も重要なコスチュームなど。これらは、ポップミュージックの歴史を彩る貴重な史料として、2025年にロンドン東部のオリンピックパーク内にあるV&A分館にオープン予定のデビッド・ボウイ パフォーミングアーツ研究センターに収蔵される。
その中には、フレディ・ブレッティがデザインしたジギー・スターダストのジャンプスーツ、1997年発表のアルバム『アースリング』のジャケットを飾ったユニオンジャックのコート(ボウイとアレキサンダー・マックイーンによるデザイン)、7万点を超える写真や映像、代表曲「ヒーローズ」の手書きの歌詞などがある。
ビクトリア&アルバート博物館はまた、ワーナーミュージック・グループとブラバトニック・ファミリー財団(同グループの副会長レン・ブラバトニックが設立)から、1200万ドル(約16億円)を寄付された。この資金をもとに、分館のV&A East Storehouseにデビッド・ボウイ パフォーミングアーツ研究センターを新設する。
ボウイを「史上最高のミュージシャン、パフォーマーの1人だ」と評する同博物館のトリストラム・ハント館長は、AP通信にこう語った。
「音楽、演劇、映画、ファッションから表現のスタイルまで、ボウイのラディカルな革新性は、ベルリンや東京、ロンドンなど世界中でデザインや視覚文化に影響を与え続け、ジャネール・モネイ、レディー・ガガ、ティルダ・スウィントン、ラフ・シモンズといったクリエイターたちにインスピレーションを与えています」
ドイツ表現主義の映画、日本の歌舞伎、ビートルズなど、ありとあらゆるものに影響を受け、それを吸収したボウイは、グラムロック、フォーク、エレクトロニカなど幅広い音楽ジャンルをカバーする芸術的キメラ(*1)と言えるだろう。(翻訳:石井佳子)
*1 ギリシャ神話に登場する、身体の部分が異なる動物から構成される怪獣。生物学では、同一個体中に遺伝子型の違う組織が存在する現象のことを言う。
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