ハウザー&ワースがシリコンバレー進出。パロアルトの新拠点で今秋「カルダー|オキーフ」展を開催

世界4大メガギャラリーの一角を占めるハウザー&ワースが、シリコンバレーの中核都市パロアルトに、今秋新しいスペースをオープンする。こけら落としとなるのは、アレクサンダー・カルダージョージア・オキーフの2人展だ。

1976年に撮影されたアレクサンダー・カルダーとジョージア・オキーフ(ハウザー&ワースのパロアルトでの初展覧会に展示されるアーカイブ資料の1つ)。Photo: Abner Symons/Courtesy the Calder Foundation

ハウザー&ワースが10月3日にパロアルトで新ギャラリーをオープンし、カリフォルニア州の拠点をさらに拡大することを発表した。同ギャラリーのシリコンバレーにおける初の常設拠点となるこのスペースでオープニングを飾るのは、アレクサンダー・カルダージョージア・オキーフの友情と芸術的な交流に焦点を当てた展覧会「Calder | O’Keeffe(カルダー|オキーフ)」だ。

世界最大級の商業ギャラリーネットワークを誇るハウザー&ワースは、1992年にチューリッヒで設立された。現在はニューヨークロサンゼルスロンドンパリ香港、チューリッヒ、バーゼル、モナコ、メノルカ島(スペイン)など、アメリカ、欧州、アジアで17の拠点を展開している。

パロアルトは、ハウザー&ワースにとってアメリカで6カ所目、カリフォルニアでは3カ所目の拠点で、シニアディレクターのベアトリス・シェンが新ギャラリーを率いる。シェンはこれまで、ロサンゼルスにあるハウザー&ワースの拠点の運営や、サンフランシスコのアートフェア「FOG Design+Art」への参加を取り仕切る統括責任者だった。

パロアルト進出は、同地在住の億万長者でUS版ARTnewsのトップ200コレクターの常連でもあるローレン・パウエル・ジョブズとの関係をさらに緊密なものにすると思われる。パウエル・ジョブズは、教育・環境・医療・移民問題などの分野で慈善活動や事業投資を行うエマーソン・コレクティブを創設したフィランソロピストでもあり、以前からハウザー&ワースの主要顧客の1人だと噂されてきた。なお、パロアルトにはかつてペースの拠点があったが、2022年にクローズしている。

パロアルトのギャラリーオープンを飾る「Calder | O’Keeffe」はカルダー財団との共同企画で、ジョージア・オキーフ美術館からはリサーチへの支援を受けている。展示されるのは両アーティストの作品と、数十年にわたる2人の友情をたどるアーカイブ資料だ。

カルダーとオキーフの制作における表現媒体はまったく異なっていたが、その親交は数十年にわたって続いた。1930年代後半、カルダーはオキーフのために彼女のイニシャルをあしらった真鍮製のブローチをデザインし、一方のオキーフは後に移住したニューメキシコの自宅にカルダーの黒いモビールを設置。オキーフを撮影した写真には、そのモビールが度々登場している

ハウザー&ワースによると、オキーフはかつて、カルダーの抽象的な造形の中に「骨盤の穴」を見たと語ったことがあるという(オキーフには砂漠で見つけた動物の骨盤の穴を描いた作品群がある)。この言葉が、アメリカを代表する2人のモダニストの意外な共通点を探るオープニング展を企画するきっかけとなった。

広さ約242平方メートルの新拠点が設けられるのは、パロアルトのハミルトン・アベニュー201-225番地にある築100年の郵便局の建物だ。改修後のギャラリーには「ハウザー&ワース・ブックショップ」が併設され、トークショーや教育プログラム、出版関連イベントなどを行う地域コミュニティの交流の場となる。指揮を執るのは建築家のルイス・ラプラスで、歴史的建造物の活用を重視する同ギャラリーの方針に沿って改修が進められている。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

あわせて読みたい