写真集出版の名門シュタイデルが経営危機。予備的破産手続きの対象に
世界有数の写真集出版社として知られるドイツのシュタイデルが、予備的破産手続きの対象となった。写真・アート出版界を代表する名門の経営危機が、業界に波紋を広げている。
ドイツ中部のゲッティンゲンを拠点とする出版社シュタイデル(Steidl)が、予備的破産手続きの対象となった。ドイツの複数メディアが報じている。
北ドイツ放送(NDR)によると、債権者の申し立てを受け、ゲッティンゲン区裁判所は7月10日、同社に対する予備的破産手続き(*1)を開始した。裁判所は、同社が従業員への給与を支払っていなかった、あるいは支払いを大幅に遅延させていたとの訴えについても調査している。
*1 正式な破産手続きの開始に先立ち、裁判所が会社の財務状況を調査し資産を保全する手続き。
ドイツ紙ディ・ヴェルトの取材に応じた弁護士によれば、一部の従業員には5~6カ月分の給与が支払われていないという。NDRは労働裁判所で複数の訴訟が係争中だと伝えているが、その詳しい内容は明らかになっていない。
ゲルハルト・シュタイデルは7月9日にNDRの取材に対し、「出版業界にとって非常に厳しい時代だ」と語った。US版ARTnewsは同社の広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られていない。
1968年にゲルハルトによって創業されたシュタイデルは、細部まで妥協しない印刷工程とゲルハルトが作家たちと築いてきた緊密な関係で知られ、これまで数多くの写真家やアーティストの作品集を刊行してきた。
米誌ニューヨーカーが2017年に掲載した長編記事では、その本づくりを芸術の域にまで高めた仕事ぶりについて、「細部への徹底的なこだわり、卓越した職人技、そして最新技術を積極的に取り入れる柔軟な姿勢」と高く評価していた。2010年には、シュタイデルの本づくりを追ったドキュメンタリー映画も制作されている。
同社から作品集を刊行した作家には、ロバート・フランク、ナン・ゴールディン、ヨーゼフ・ボイス、ウィリアム・エグルストン、ジョエル・スタンフェルド、マーティン・パー、エドワード・バーティンスキーらがいる。
多くの写真家にとってシュタイデルと仕事をすることは、この上ない栄誉とされてきた。エグルストンもニューヨーカーの取材で、「彼はほかの誰よりもはるかに優れている」とゲルハルトを絶賛している。(翻訳:編集部)
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