FBIの美術犯罪捜査班、密輸された文化財48点をエジプトに返還。設立以来2万点超を回収

アメリカ連邦捜査局(FBI)の美術犯罪捜査班が違法取引で密輸された文化財48点を特定し、エジプト政府に返還した。文化財に関する犯罪の増加を受けて設立された捜査班は、この20年あまりで1600億円相当の品を回収している。

FBIのロサンゼルス支局で行われた略奪文化財のエジプトへの引渡式。Photo: FBI

8月21日、違法取引で密輸された文化財48点をエジプト政府に返還する引渡式が、FBIのロサンゼルス支局で行われた。返還されたのは紀元前3100年頃から西暦9世紀までの彫像、護符その他の副葬品で、古代エジプトのファラオの時代から古代ローマ、コプト教が広まった時期のものまで多岐にわたる。この引渡式にあたり、エジプトのホッサム・エルディーン・アリー大使はプレスリリースで次のように述べている。

「今回返還された文化財は、エジプトとその国民の歴史および文化遺産の不可欠な一部です。これらを祖国に戻せることを大変嬉しく、光栄に思います。エジプトは、文化分野をはじめとするさまざまな分野において、二国間の協力がより建設的かつ強固なものになることを期待しています」

捜査の発端は、これらの文化財の所有者から寄せられた情報だった。不審に思った所有者が調べたところ、合法的にアメリカへ持ち込まれたものではないことが疑われたため、捜査当局に通報したという。結果、捜査当局でも、エジプトから適正な手続きを経て持ち出されたとの確たる証拠は見つからなかった。当時の密輸業者はすでに死亡しているが、共犯者の特定に向けた捜査が続いている。

アメリカは2016年にエジプトと文化財に関する協定を締結し、エジプトからの特定の考古学的・民族学的資料に対して輸入制限を課すことが可能となった。以来、違法に取引された文化財の特定、差し止め、返還に関する両国の協力体制が整えられ、文化、教育、科学分野の合法的な交流が促進されている。この10年間で、アメリカからエジプトへ返還された文化財は5000点以上におよぶ。

FBIロサンゼルス支局の担当副局長パトリック・グランディは、「歴史的に重要な遺物を、本来の場所であるエジプトの人々に返還できることを光栄に思う」と述べ、こう続けた。

「FBIの美術犯罪捜査班は、外交・学術・法執行機関のパートナーと連携しながら、窃盗や略奪、あるいはその他の経緯で入手された文化財の保全と本国への返還において重要な役割を果たしています。返還された文化財は、正当な所有者のもとで適切に管理され、大切にされることになります。FBIは、所有する品に略奪文化財の疑いがある場合、最寄りのFBI支局あるいは美術犯罪捜査班に連絡するよう強く呼びかけています」

世界各国における文化財犯罪の増加を受け、2004年に設立されたFBIの美術犯罪捜査班がこれまでに回収した物品は2万点以上で、その総額は10億ドル(約1600億円)以上にのぼる。現在、FBIの「盗難美術品ファイル」には、美術品、収集品、その他の文化財約5000件が登録されており、これを確認することで盗品を購入するリスクを回避できる。(翻訳:石井佳子)

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