彫刻を「倒れた人」と勘違い。警察がギャラリー入口を破壊し突入
- TEXT BY ARTNEWS JAPAN
8月14日深夜、カナダ・バンクーバーのギャラリーに「救助が必要な人がいる」との通報を受け、警察が出動。入口を破った先にいたのは、本物の人間と見まがうほどリアルな彫刻だった。

8月14日深夜、カナダ・バンクーバーのギャラリー内に救助を必要としている人がいるとの通報を受け、警察が出動した。ところが、そこにいたのは、本物の人間と見まがうほどリアルな彫刻だった。イギリスのゲーム・インターネットカルチャー系メディア、Dexertoが伝えた。
珍事が起きたのは、バンクーバーにあるアクセス・ギャラリー。通りがかった人がカウンターの奥から人の両足が突き出ているのを目撃し、中にいる人物が救助を必要としていると判断、警察に通報した。現場に駆け付けた警察はギャラリー関係者と連絡が取れなかったため、消防隊と連携して入口を破って建物内に入った。しかし、そこには負傷者の代わりに、カナダの若手作家アリサ・ピエールによる彫刻《Untitled (The Preparator)》があった。
同ギャラリーでは8月6日から10月1日まで、ピエールらが参加するグループ展「PENDING」を開催している。ピエールは表舞台では見えにくい労働や、人々が互いの居場所をどうつくるかに目を向けており、《Untitled (The Preparator)》は展覧会の裏方である設営スタッフ(アートハンドラー)を等身大に近い姿で造形することで、普段は鑑賞者の目に触れない労働をあえて「展示される対象」に変えた作品だった。

今回の強制的な立ち入りにより、ギャラリーは錠と門の交換に1000カナダドル近く(約11万5000円)を負担することになった。
同ギャラリーのディレクター、サギ・エフテシャムザデによると、現場に警察が駆けつけると、ギャラリーの向かいに住む作家の友人も急行。「人」に見えるものは展示作品だと説明したが、警察には聞き入れられなかったという。エフテシャムザデはさらに、インターネットで検索すれば、作品であることをすぐに確認できたはずだと指摘する。ギャラリーはバンクーバー市に修理費の補償を申請しており、現在は回答を待っている。
エフテシャムザデは今回の出来事について、CityNewsに次のように語った。
「この出来事はばかげていて、笑い話にもできるでしょう。しかし同時に、もっと重い問題について考えさせられました。緊急対応を本当に必要としている人に支援が届いていない一方で、緊急性のない事態に資源が費やされているのです」
ギャラリーは今後、作品が再び本物の人間と間違われないよう夜間には覆いをかける予定だという。

エジプトのピラミッドで観光客が「80メートル」滑落! 精鋭救急隊員による2時間の救助活動で救出|10月19日、エジプト・ダハシュール考古学地区にあるスネフェル王の屈折ピラミッドを訪れたスペインの観光客が、内部の通路を80メートルにわたり滑落。地元の救急隊員によって助け出された。【続きを読む】
Photo: Universal History Archive/Universal Images Group via Getty Images

中国で観光客が兵馬俑2体を破損。5メートル下の坑に飛び降り、狼藉後は地面に寝そべる|5月30日、中国・西安市の第3号兵馬俑坑で、観光客の男が2体の兵馬俑に損傷を与える事件が起きた。当局によると、男は防護柵を乗り越え、5メートルを超える深さの坑に飛び降りたという。【続きを読む】
Photo: Kevin Frayer/Getty Images

酔った男がインカ文明期に作られた石壁を破壊。「最大限の制裁を求める」と捜査当局|12角の石として知られるインカ文明期に作られた遺跡を酔った男がハンマーで殴打した。男の身柄はすでに確保されており、歴史的建造物の破壊の罪で、最大6年の懲役刑が言い渡される可能性がある。【続きを読む】
ペルーのクスコにあるインカ・ロカ宮殿の12角の石。Photo: Luis Rosendo/Heritage Images/Getty Images

トルコ考古学遺産「第二のカッパドキア」をカフェに無断改装!? 古代の石に電気配線、墓でコーヒー|トルコのアフィヨンカラヒサル県にある3000年前の岩窟墓が無許可でカフェレストランに改築されていたことが分かった。【続きを読む】
3000年前の岩窟墓を改築して作られたカフェ「タシュ・バフチェ(石の庭)」。Photo: Selim Uzun/Hürriyet

「第二のカッパドキア」とも呼ばれるこの遺跡はユネスコ世界遺産暫定リストに登録されており、地元の考古学者たちは激しく非難している。
岩窟墓内でカフェを営業していた時の様子。Photo: Selim Uzun/Hürriyet

イギリス王室の伝説的遺物「運命の石」が危機一髪! キルト姿の男性が展示ケースを襲撃するも無事|イギリス王室に伝わる古代の戴冠石「運命の石」。7月12日、この石を特別展示中だったスコットランドのパース博物館で、35歳の男性が故意に石の保護ガラスを破壊する事件が起こった。【続きを読む】
2023年4月27日、チャールズ国王の戴冠式のため、ウェストミンスター寺院へ輸送される「運命の石」。Photo: Russell Cheyne - Pool/Getty Images

来館者が《ファン・ゴッホの椅子》オマージュ作品を誤って破壊し逃走。美術館側は「悪夢」と激怒|イタリア・ヴェローナ市にあるパラッツォ・マッフェイ美術館で、「写真撮影のため理性を失った」来館者が展示作品を誤って破壊し、逃走する事件が起きた。【続きを読む】
来館者により破壊されたニコラ・ボッラの《ファン・ゴッホの椅子》(2006–07)。Photo: Palazzo Maffei

泥酔した英空軍技師がパディントン像を真っ二つに破壊。転売を試みるも失敗、有罪が確定|イギリス・ニューベリーに設置されていたパディントンの像がイギリス空軍に所属する2人の技術者によって破壊され、持ち去られた。その後2人は起訴され、それぞれ12カ月の社会奉仕と修理費約53万円の支払いが命じられた。【続きを読む】
街中に設置されたパディントンの像。Photo: via X/@VisitNewbury

イーロン・マスク像を刃物で切りつけ? トランプ政権とマスクに対する抗議の一環か|インターネットミームを元に作られたイーロン・マスクの胸像が、何者かによって傷付けられていることがわかった。アメリカでは現在、トランプ政権に対する抗議の一環としてテスラの販売代理店などを狙った過激な抗議活動が相次いでおり、今回の破壊行為もその一環として行われた可能性がある。【続きを読む】
破壊されたイーロン・マスクの胸像・Photo: via X

動物愛護団体が救助か。アート作品として展示された3匹の子豚が盗まれる|デンマーク・コペンハーゲンで行われた本物の子豚を使ったアート展示で、3月1日、生体が盗まれる事件が起こった。この作品は、子豚をケージに閉じ込めて飢え死にさせることで、同国における養豚業のずさんな管理体制を問うという内容だった。【続きを読む】
Photo: Edwin Remsberg/VW Pics/Universal Images Group via Getty Images

オランダ自治体がアート作品46点を「粗大ごみ」として処分。アンディ・ウォーホル作品も|オランダのマースホルスト市役所が、アンディ・ウォーホルが制作した元オランダ女王ベアトリクスをモチーフにしたシルクスクリーンを含む46点の芸術作品を誤って処分していたことが分かった。【続きを読む】
ベアトリクス王女。背後には「Reigning Queens」シリーズの同王女の作品。Photo: Patrick van Katwijk/Getty images

仏「椅子の父」が偽造アントワネットの椅子で7億円を荒稼ぎ。ベルサイユ宮殿やカタール王子も被害|18世紀のフランス家具の専門家らがベルサイユ宮殿やカタールの王子に偽の家具を販売し、450万ユーロ(約7億3000万円)もの利益を得たとしてフランス当局に起訴され、裁判が行われた。贋作数点は国宝にも指定されていた。【続きを読む】
ビル・パロット。Photo: Bertrand Rindoff Petroff/Getty Images

パロットらが偽造した椅子。Photo: X/@Le_Figaro

キム・カーダシアン、誤情報の拡散をめぐる訴訟でドナルド・ジャッド財団と和解|キム・カーダシアンが「ドナルド・ジャッドのテーブル」として紹介した家具が偽物だったとして、ドナルド・ジャッド財団はカーダシアンと家具を制作したデザイン会社を提訴していたが、6月初めに和解に達した。【続きを読む】
Photo: Taylor HillGetty Images

カニエ・ウェストが著名写真家の作品を無断使用? 最新アルバムジャケットにKKKの「結婚式写真」|カニエ・ウェストが最新アルバム『CUCK』のジャケット写真を公開した。その画像に使われた、KKKメンバーの「結婚式の写真」が無断使用だった可能性が浮上し、撮影者が法的措置を進めている。【続きを読む】
カニエ・ウェストが無断で使用した、ピーター・ファン=アットマールの《The wedding of two members of the KKK in a rural America》。Photo: Peter van Agtmael/Magnum Photos

「似ていない」キング牧師像に住民から批判相次ぐ。アーティストは「力強さや親しみを表現」と説明|7月12日にアメリカ・フロリダ州の公園で除幕された、キング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(1929-1968)のブロンズ彫刻が「似ていない」と批判が相次いだ。【続きを読む】
似ていないと批判が相次いでいるフロリダ州のキング牧師像。Photo: Courtesy Oasis Engineering LLC

挑発的な人魚像、撤去へ。胸の大きさ巡りデンマークで賛否沸騰|デンマーク政府は、コペンハーゲンのドラガー要塞に設置されている巨大な人魚像に対し「性的すぎる」との批判が相次いだことを受け、撤去を決めた。【続きを読む】
撤去が決まった、ドラガー要塞にある人魚像。Photo: X/@goodlobster1