人間そっくりな作品が、警察が出動する大騒動を巻き起こす。作者はお騒がせアーティスト、マーク・ジェンキンス
12月11日、ロンドンのギャラリーに展示された女性の立体作品が、助けを必要としている本物の人間であると誤解され、通報を受けた2人の警官がギャラリーに出動。鍵のかかったドアの蝶番をはずす事件があった。
長い金髪に黄色いフードを被った等身大の女性が、スープの入ったボウルに頭を埋めて意識を失っているように見える──これは、ギャラリー、ラズ・エンポリアムで展示されているアメリカのアーティスト、マーク・ジェンキンスによる《Kristina》(2022)と題された作品。同ギャラリーを運営するディーラーで、バンクシーの元エージェントでもあるスティーブ・ラザリデスが彼の妹をモチーフに依頼したものだ。
事件は11月25日に起こった。ギャラリーで働く女性スタッフが、この作品を心臓発作か薬の過剰摂取を起こした人間と勘違いして警察に「2時間前から動いていない人がいる」と通報。その20分後、午後6時前に警察官が現場に駆けつけた。警察の広報担当者によると、警官は現場に強制的に入ったものの、倒れている女性は実はマネキンであることが発覚したという。
ギャラリーのスタッフであるハンナ・ブレークモアは、最初にこの件を報じた『アートネット』の取材に対して、「作品は“挑発”を意図しており、その意味で、作品の目的は間違いなく達成されたと言えるでしょう」とコメントした。
現在もギャラリーのウィンドウに設置されているこの作品は、10月にロンドンで開催されたアートとデザインの見本市「Decorex」に展示された際にも、救急車が呼ばれるという同様の騒ぎを起こしている。(翻訳:編集部)
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