検閲批判の光州ビエンナーレが一転、「台湾館」の名称を認める──方針転換の理由は明かさず

「台湾館」の名称変更をめぐって台湾側と対立していた光州ビエンナーレが、同名称での出展を認めた。運営側は台湾文化部の公文書を受け、会場側にも台湾側出展者を受け入れるよう求めた。

光州ビエンナーレ展示館。Photo: Courtesy Gwangju Biennale Foundation

光州ビエンナーレ財団(GBF)は、9月5日から11月15日まで開催される第16回光州ビエンナーレのパビリオン企画について、これまでの主催機関・国立台湾美術館(NTMoFA)の名称に代えて「台湾館」の名称を使った出展を認めるとともに、会場の国立アジア文化殿堂(ACC)に対しても台湾側出展者の受け入れを指示した。この決定は、「台湾館」の名称変更をめぐって参加アーティストが検閲だと訴え、台湾政府と運営側の説明が食い違うなかで発表された。

出展作家らは、8月18日以降会場への立ち入りを拒否され、設営作業が1週間以上遅れていたと訴えた。台湾文化部も、出展者が会場に立ち入れない状況に「厳重に抗議した」とし、財団側が狭い倉庫スペースへの展示移転まで提案したとして、展示を妨害する意図があったと批判した。

この決定に先立ち、GBFの要請を受けた台湾文化部は、NTMoFAに公文書を送付していた。この文書は、同館が台湾を代表する機関としてパビリオン企画に参加し、「台湾館」の名称を使用することを正式に認める内容だった。GBFはこれを受理したうえで、会場を管理するACCに台湾側出展者の受け入れと展示の実施を要請した。

「台湾館」の名称をめぐる問題が表面化したのは8月だった。光州ビエンナーレがパビリオン企画を列挙したポスターを公開した際、台湾の出展企画は「NTMoFA」と表記されていた。8月15日、台湾館のキュレーター、チェン・シャンウェン(陳湘汶)と出展作家9人はInstagramに共同声明を投稿し、「『台湾館』の名称で提出し、同名称で受理された企画が、参加チームの同意を得ないまま一方的に『NTMoFA』へと改称され、ポスターから台湾の名が消された」と訴えた。声明は「これは単なる名称の削除にとどまらない。表現の自由と、世界のアートコミュニティに対する脅威だ」と続けた。

これに対しGBFは8月19日、台湾館は国別パビリオンではなく機関パビリオンだと説明。2026年1月12日の合意に基づき、国立台湾美術館の名を冠することが決まっていたと説明した。また、国別パビリオンとして参加する場合には、その国の大使館または文化省が発行した承認状の提出が必要であり、今回の名称をめぐる問題は「参加者の分類および命名規則をめぐる事務的な相違」にすぎないと主張。「光州ビエンナーレは展示の企画や内容に介入も検閲もしていない」とも述べた。

これに対し台湾文化部は、「台湾館」という名称は提案書にもその後のやりとりにも記されていたとし、4月2日に合意書が締結されたことを明らかにした。文化部のウェブサイトには、提案資料やプロジェクトを繰り返し「台湾館」と呼ぶメールのやり取りの画像も掲載された。また、台湾館のキュレーターを務めるチェンは、何らかの外部から水面下の圧力があった可能性を公に指摘しているが、中国本土や韓国政府など第三者の関与を裏付ける証拠は示されていない。

名称をめぐる対立が続くなか、第16回光州ビエンナーレに参加する38人のアーティストとキュレーターは8月24日、台湾側出展者に連帯を示す公開書簡を発表、「アート機関は、人々が自らをどう名乗るかを抑圧する道具になってはならない」と訴えた。また、参加者が自らを名乗る権利を十分な説明なく機関側が制限することは、単なる事務上の問題ではなく、公共空間で誰がどのように表象されるかを誰が決めるのかという問題につながると指摘した。署名にはビエンナーレの参加アーティスト16人と、パビリオン企画の代表者が名を連ねた。

GBFは8月25日の最新声明で、台湾文化部から、国立台湾美術館が同ビエンナーレで台湾を代表することを確認する公文書を受領し、これを承認したと説明した。その結果、「台湾館」の名称使用を認めたとしているが、従来の判断を変更した具体的な理由については明らかにしていない。ビエンナーレの広報担当者は、広報資料上のパビリオン名称の変更について協議中だとしつつ、更新後のデザインはまだ届いていないと付け加えた。

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