サウジアラビアで7000年前の大規模建造物を発掘。新石器時代の儀式が最新研究で明らかに
サウジアラビア北西部のアルウラで、7000年前の石造遺構が発掘された。新石器時代にこの地域に存在した文明の宗教儀式や文化を明らかにするものとして注目されている。
発掘されたのは、長方形の砂岩の壁でできた先史時代のムスタティル(大規模な儀式用建造物)の遺構。アラビア北部では、これまで1600ほどのムスタティルが確認されている。今回発掘された遺構は、西オーストラリア大学とサウジアラビアのアルウラ王立委員会による5年間の共同プロジェクトの一環として調査研究が続けられている。
140メートルにおよぶこのムスタティルは、砂岩の壁で広い中庭を囲むように建造されている。中央には直立した石があり、その周囲からヤギやガゼルといった家畜の頭骨や角、歯など約260点が発見された。この石はベチルあるいは神の家と呼ばれ、生者と神の仲立ちをするものとして儀式に使われたと考えられている。
科学ジャーナルのPlos Oneに発表された最新の研究結果によると、石の周囲から見つかった動物の骨は、この地域で動物の家畜化や動物を生贄にした儀式が行われていたことを示す最も古い証拠の1つだという。これ以外の80ほどのムスタティルの調査でも、同時期の動物の骨などが見つかっているが、ベチルのない遺構もあった。
こうした発見から、新石器時代のアラビア北部には、共通の宗教儀式や信仰体系が存在した可能性があると研究者は考えている。新石器時代における集落間の移動や交流が、従来考えられていたより盛んだったことを最新の研究結果は示唆している。(翻訳:石井佳子)
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