ナスカの地上絵、新たに168点を発見! 山形大学研究チームが大調査
ペルーのナスカ台地とその周辺で、山形大学の研究グループが168点にのぼる新たな地上絵を発見したと発表。調査・解析は、AI(人工知能)やドローン、航空レーザー測量を利用して行われている。山形大学は、ナスカ台地での学術調査をペルー文化省から正式に許可された世界で唯一の研究チームだ。
山形大学の研究チームはペルーの考古学者と共同でナスカの現地調査を行い、紀元前100年頃から紀元後300年頃までに描かれたと見られる人間、ラクダ科やネコ科の動物、鳥、シャチ、ヘビなどの地上絵を発見した。
地上絵は、地表にある黒い石を除去して、その下の白い砂を露出させて作られており、黒い石を線状に除去するタイプと面状に除去するタイプがある。今回発見された地上絵のほとんどは面状に除去された10メートル以下の小型のもので、多くが古代の小道に沿って分布していた。
山形大学は米IBMのワトソン研究所と共同で、AIを活用した地上絵の分布パターン研究にも取り組んでいる。これまでの発見の成果は、地上絵の謎の解明や保護活動に活用されるという。
なお、今回の発見に先立ち、2004年から18年にかけて行われた調査で190の地上絵が見つかっている。2017年にはペルー文化省が、地上絵が集中するアハ地区に遺跡公園を設立した。
ナスカの地上絵は、神を描いたもの、灌漑のためのもの、占星術の暦など、さまざまな説があるが、その目的は今もはっきりとは分かっていない。ナスカ文化は先行するパラカス文化から発展し、ナスカ谷やイカ谷を中心に西暦1年から700年頃に栄えた。その遺物から見つかった多彩色土器は、先行文化の土器からの転換を示している。
初期のナスカは、中央アンデスの海岸沿いにあるカワチを中心に複数の部族で構成されていたという。カワチ遺跡には約40の墳丘のほか、ビラミッド状の建造物や神殿などがあったとされ、農業や水の恵み、豊穣に関する儀式が行われていたと考えられている。(翻訳:石井佳子)
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