マリア・アリーナ・ベル&ウィリアム・ベルJr.(Maria Arena Bell and William Bell Jr)
拠点:アメリカ・ロサンゼルス
職業:テレビ制作プロダクション
収集分野:近現代アート
マリア・アリーナ・ベルとウィリアム・ベルJr.夫妻は、アート収集に多大な情熱を傾けていることで知られる。アートスペース誌によると、結婚前に美術史を学んでいたマリアは、1930年代から40年代にかけてのハリウッド黄金時代のスターたちを捉えたジョージ・ハレルのビンテージ写真を集めていたという。現在ベル夫妻は、アンディ・ウォーホル、マルセル・デュシャン、ダミアン・ハーストなど、数多くの大物アーティストの作品を所有。マリアはロサンゼルスを拠点とするアレックス・イスラエル、ジョナス・ウッド、マーク・ライデンなどの作品を収集し、ダン・コーレンなどには作品制作の委託もしている。
ベル夫妻は、ジェフ・クーンズの熱心なコレクターでもある。クーンズは、1990年代に2人が現代アートの収集に踏み出すきっかけとなったアーティストだ。2014年にマリアは、「ジェフは当然の選択だった」と、英オブザーバー紙に答えている。初めて入手したクーンズ作品は、1986年に発表された「贅沢と劣化」シリーズの《Fisherman Golfer》のステンレス製デカンタだった。また、リビングルームの一番目立つ場所には、アクリルケースに入った掃除機が置かれているが、その作品を購入したとき、マリアは「ゾクゾクするような気分だった」という。当時、クーンズのことを知らない彼女の友人たちは、夫のウィリアムが潔癖症で有名なことから、この作品は「清潔さを賛美する象徴」だと思ったかもしれない。
マリアはまた、「誰もがアートに接することができるようにすべき」という信念のもと、人生の大半をアート分野の慈善活動に捧げている。彼女は、ロサンゼルス・タイムズ紙にこう語っている。「アートは慰めを与え、幸福を与え、自分自身を形成するものです。誰もがアートを持つべきです」
ロサンゼルス現代美術館で2008年から約7年間理事を務め、理事会の共同議長を4年半務めたマリアは、ニューヨークの大物アートディーラー、ジェフリー・ダイチを同美術館のエグゼクティブ・ディレクターに採用することに尽力した。しかし、2013年にダイチが人事問題などで辞任した数カ月後、理事を退任している。