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  • 2024.08.09

今週末に見たいアートイベントTOP5: 田名網敬一60年の軌跡を約500点で辿る、アートチームSIDE COREの東京初となる大規模展

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

田名網敬一 記憶の冒険(国立新美術館)より展示風景。「田名網敬一 記憶の冒険」国立新美術館 2024年 展示風景 撮影:山本倫子 ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

1. おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展(国立工芸館)

小川雄平 《陶製黒豹置物》(部分) 1933年 国立工芸館蔵 撮影:斎城卓

光と影が工芸に映すコントラストとハーモニー

本展は、工芸が切り取って見せた光と影のそれぞれの方向、そしてその間で無数に変化する美しさを訪ねる。物質感を豊かに抽出し、複雑さと合理性とを兼ね備えた構造から成る工芸は光と影にとって絶好の舞台装置ともいえる。

展覧会では「光?影? / 光と影でモノがたる」「光と影でカタチつくる」「メタル&ガラス」という3つのテーマに分けて、池田晃将、新里明士といった若手から黒田辰秋、鈴木長吉ら巨匠まで古今の作家が共演する。見どころは、イサム・ノグチの《AKARI》が展示された光と影の体感スペース「芽の部屋」だ。光の彫刻が築くこの空間にはアルヴァ・アアルト 、熊井恭子、剣持勇の作品が展示されており、くつろぎのひとときを体感することができる。

おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展
会期:6月18日(火)〜8月18日(日)
時間:9:30〜17:30(8月9日~8月17日の金土、11日は20:00まで、入場は30分前まで)
場所:国立工芸館(石川県金沢市出羽町3-2)
休館日:無休

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2. 「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」(大倉集古館)

ル・コルビュジエ「チャンディガール」(素描、1951年)大成建設所蔵

約130点で「画家・ル・コルビュジエ」を紹介

建築家ル・コルビュジエは、7カ国の17資産がユネスコの世界文化遺産に登録されるなど、20世紀を代表する重要建築家であるだけでなく、絵画をはじめとした数多くの美術作品を残したアーティストとしても知られている。

本展では、世界有数の所蔵作品数を有する大成建設のル・コルビュジエ・コレクションの中から約130点を厳選し、美術作家としての業績を紹介する。同コレクションがこの規模で集結するのは30年ぶり。別フロアには建築模型も展示され、ル・コルビュジエの美術・建築両方の創作への情熱を知る絶好の機会になるだろう。

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」
会期:6月25日(火)~8月12日(月・休)
時間:10:00~17:00(金曜は19:00まで、入場は30分前まで)
場所:大倉集古館(東京都港区虎ノ門2-10-3)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)


3. 田名網敬一 記憶の冒険(国立新美術館)

「田名網敬一 記憶の冒険」国立新美術館 2024年 展示風景 撮影:山本倫子 ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

60年以上の活動の軌跡を膨大な作品や資料で辿る

1936年に生まれた田名網敬一は、幼少期に経験した戦争の記憶とその後に触れたアメリカ大衆文化からの影響が反映された色彩鮮やかな作品で知られている。また、絵画、コラージュ、立体作品、アニメーションなど表現方法は多岐にわたっており、その類まれな創作活動は国際的に高い評価を得ている。

初の大規模回顧展となる本展では、田名網が手掛けた約500点におよぶ膨大な作品や資料を紹介。「記憶」というテーマのもと、これまで包括的に捉えられることがなかった60年以上におよぶ活動を改めて紐解いていく。多方面から注目が集まる田名網が現在まで探究を続ける、虚実が入り混じった記憶のコラージュのような作品世界を存分に体感できる機会となるだろう。

田名網敬一 記憶の冒険
会期:8月7日(水)~11月11日(月)
時間:10:00~18:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
場所:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
休館日:火曜


4. Ryu Itadani「Everyday Life “THERE“ 」(ポーラ ミュージアム アネックス)

Ryu_Itadani「Saint-Jean-de-Luz」 2024, Acrylic on Canvas,100x 120x6.5cm

日常を鮮やかに描き出すRyu Itadaniが見る世界

ベルリンを拠点に活躍するアーティスト、Ryu Itadaniは街の風景や植物、愛用する日用品など何気ない日常の一場面を、独特の輪郭線と色彩であでやかに切りとって作品制作をしている。

本展は「Everyday Life “HERE & THERE”」と題し、家具ブランドarflexと2会場で開催。ポーラ ミュージアム アネックスでは、Itadaniの作品の中でも「THERE」=遠くの景色や俯瞰した視点を中心にした作品が約30点展示される。会場内にはアトリエに見立てたスペースが設けられ、開催初日から約10日間、arflexのアイコン的ソファ「MARENCO」にペインティングする公開制作を行う。フリーハンドでのびやかに描かれるラインや彩色、その日、その瞬間にいきいきと生まれゆく作品を楽しむことができる。

Ryu Itadani「Everyday Life “THERE“ 」
会期:8月9日(金)〜 9月23日(月)
時間:11:00 〜19:00 (8月29日は18:00まで、入場は30分前まで)
場所:ポーラミュージアム アネックス(東京都中央区銀座1-7-7)
休館日:無休


5. 「SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット」(ワタリウム美術館)

展示風景。Photo: Masaki Yato

アートチームSIDE COREの東京初となる大規模展

公共空間や路上を舞台としたアートプロジェクトを展開するアートチームSIDE COREによる、東京では初となる大規模展。高速道路や線路、地下水路などを特殊な方法で撮影したり、街灯やガードレール、道路工事のサインなどを素材としたインスタレーション作品を制作するなど、都市の独自な公共性や制度に着目し、それに介入・交渉しながら創作活動を続けている。

本展では、私たちの視点・行動・ストーリーテリングをキーワードに3つのテーマに分類した作品群を展示する。視点のセクションでは、主に路上のマテリアルを用いて、都市のサイクルをモデル化する立体作品の新作シリーズを披露。ストーリーテリングのセクションでは、2023 年から継続するプロジェクト「under city」や、東京の地下空間をスケートボードによって開拓していくプロジェクトの最新版を発表する。作品は美術館内部だけではなく周辺環境にも展開し、都市への想像力がアートを通して広がっていく様を見ることができる。

「SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット」
会期:8月12日(月・休)〜12月8日(日)
時間:11:00〜19:00
場所:ワタリウム美術館(東京都渋谷区神宮前3-7-6)
休館日:月曜(祝日は除く)

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