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イサム・ノグチの美術館にニューヨーク市が約6億円を出資。住居兼アトリエの復元も

  • 2022年8月23日
  • INTERNATIONAL

Text: Tessa Solomon

イサム・ノグチの彫刻とデザインを展示するノグチ美術館で進行中の改修に、ニューヨーク市が450万ドル(約6億円)を投じると8月11日に発表。ロングアイランドシティのノグチ美術館を訪れた同市文化局(DCLA)のローリー・カンボ局長が明らかにした。

イサム・ノグチと光の彫刻《Akari(あかり)》(1968) ©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/Artists Rights Society (ARS)

カンボ局長によると、450万ドルのうち150万ドルはニューヨーク市のエリック・アダムス市長の決定で、残りは同市クイーンズ区のドノバン・リチャーズ区長による決定で提供されることになった。

DCLAと市議会、区長は、ニューヨーク市内にある70以上の文化団体に対し、2億2000万ドル(約300億円)もの資金を注入する計画を進めている。今回の発表もその一環で、クイーンズ美術館やアーティストが運営するレジデンスプログラム、フラックス・ファクトリーなども対象になっている。

ノグチ美術館(正式名称はイサム・ノグチ財団・庭園美術館)の拡張・統合計画の中心になるのは、美術館の向かいにある1959年当時の住居兼アトリエの復元だ。完成すれば、史上初めて内部が一般公開されることになる。

同美術館のブレット・リットマン館長は、声明でこう述べている。「イサム・ノグチは、さまざまなカテゴリーや分野の境界線を縦横無尽に超えて活躍した多才かつ大胆な人物。アート&アーカイブ棟の新設、住居兼アトリエの修復などを含む新しい施設は、ノグチの作品と人生の複雑な部分への考察を深める一助になるだろう」

リットマン館長はまた、カンボ局長、アダムズ市長、リチャーズ区長の「支援と投資」に対して謝意を表している。

ノグチ美術館関連施設の統合・拡張計画は、2019年4月に初めて発表された。計画では、ノグチのアトリエに隣接して2階建て560平方メートルの新棟が建設され、美術館の所蔵品とアーカイブ資料が収められることになる。

イサム・ノグチは1904年生まれ。日本人の詩人・随筆家の父と米国人作家の母を持つ日系アメリカ人で、少年時代は日本で過ごしている。60年代前半にニューヨークに移り、当時は金属加工業が盛んだったロングアイランドシティに質素な拠点を構えた。本人はこの場所を「工場の中の家」と呼んでいたという。

その活動は野外彫刻から家具デザイン、作庭、舞台装置まで幅広く、有機的な形態を想起させる自然素材を用いた作品は世界から高く評価された。野外彫刻庭園を併設するノグチ美術館を設立した3年後、1988年に84歳で没している。(翻訳:清水玲奈)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年8月12日に掲載されました。元記事はこちら

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