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パリで訪れるべき美術館、完全ガイド。定番から新名所まで

  • 2022年10月20日
  • INTERNATIONAL

Text: Sarah Belmont

「花の都」、「芸術の都」と言われるパリは、言わずと知れた世界屈指の観光地だ。リピーターからビギナーまで楽しめるパリで訪れたい美術館を、王道から穴場的な場所まで改めて一気に紹介しよう。

写真:ddp/アフロ

中世(サンジェルマン・デ・プレ教会など)から21世紀(たとえばフランク・ゲーリー設計のルイ・ヴィトン財団美術館)まで新旧の名建築が集まり、芸術鑑賞をしながらタイムトリップできるのがパリの魅力だ。歴史を振り返れば、この地でゴシック、アールデコ、ポストモダンなどの美学が生み出されている。

ノートルダム大聖堂、アンヴァリッド廃兵院、エコール・ミリテール、パリ・オペラ座ガルニエ宮、エッフェル塔、グラン・パレ(1900年パリ万博の会場)といった名所に事欠かないパリは、街全体が大きな1つの美術館のようだ。そこに約200もの美術館・博物館がひしめき、それぞれ充実したコレクションが収められている。ガラスの立体作品で知られるフランスの現代アーティスト、ジャン=ミシェル・オトニエルの言葉を借りれば、「パリの大きな魅力は、重要な文化的スポットが集中していること」なのだ。

セーヌ川沿いだけでも、3万8000点の美術品を所蔵するルーブル美術館や印象派の至宝を持つオルセー美術館があり、さらに少し足を伸ばせば、プチ・パレ、パリ市立近代美術館、パレ・ド・トーキョーなどの美術館が並んでいる。どこに行くか迷うこと必至だが、ここではARTnewsが厳選したパリの美術館を紹介する。


1. ルーブル美術館


ルーブル美術館 Photo: Frédéric Soltan/Corbis via Getty Images

ルーブル美術館を知らない人はいないだろう。パリを代表するこのランドマークは、セーヌ川右岸にある。6万平方メートルを超える広大な展示空間を誇り、年間約1000万人(コロナ禍前)が訪れる、世界最大かつ最も多くの見学者を集める美術館だ。

美術館があるのは12世紀後半に建てられたルーブル宮殿で、1546年にフランス国王フランソワ1世が入居して以降、1682年にルイ14世がベルサイユ宮殿を居城とするまで歴代のフランス国王が住んでいた。何世紀にもわたって増改築が繰り返されたが、フランス革命の際、国民議会はこの建物をフランス美術の傑作を展示する美術館とすることを宣言。以来、寄贈や遺贈によって収蔵品は増えていった。

ルーブル美術館には、古代エジプト美術、古代オリエント美術、古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術、イスラム美術、彫刻、工芸品、絵画、版画・素描の8部門があり、その建物はギャラリー、通路、階段、エスカレーター、ガラスのピラミッドからなる壮大な迷宮のようだ。地下階から中庭に突き出すピラミッドは中国系アメリカ人建築家イオ・ミン・ペイの設計で、1989年にオープンした。

先史時代から21世紀まで約3万8000点の所蔵品の中には、レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナリザ》、アンティオキアのアレクサンドロス作とされる《ミロのヴィーナス》、テオドール・ジェリコーの《メデューズ号のいかだ》などがある。1日では到底まわりきれないので、何度でも足を運びたい美術館だ。


2. オルセー美術館


オルセー美術館 Photo : Edward Berthelot/Getty Images

ヨーロッパ最大級の美術館、オルセー美術館はセーヌ川左岸に位置する。建物は旧オルセー駅で、1898年から1900年にかけてリュシアン・マーニュ、エミール・ベナール、ヴィクトール・ラルーの3人の建築家によって鉄道駅舎として建てられたものだ。

オルセー駅はもともとパリとフランス南西部を結ぶ列車の発着駅だったが、1939年に近距離列車専用となり駅施設は縮小された。第2次世界大戦中は、駅舎の一部が郵便局として使われたこともある。その後、オーソン・ウェルズ監督の映画「審判」(原作フランツ・カフカ)の撮影が行われたほか、オークション会場オテル=ドゥルオーの建設中には仮設会場として使われている。そして1986年、美術館・文化施設として生まれ変わった。

オルセー美術館の所蔵作品は、1848年から1914年までのフランス美術が中心だ。中でも有名なのは印象派とポスト印象派の世界最大のコレクションで、ベルト・モリゾ、クロード・モネ、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、ポール・ゴーギャン、ファン・ゴッホなどの傑作を見ることができる。こうした作品の多くは、オルセーの開館前はジュ・ド・ポーム国立美術館に所蔵されていた。

現在、ダニエル・マルシェッソーの500万ユーロの寄付金により、17世紀に建造されたマイイ・ネール館(ルーブル美術館のパヴィヨン・ド・フロールと向かい合う位置にある)の修復が始まっている。ここには、2026年初めまでにオルセー美術館付属の資料・研究センターがオープンする予定だ。


3. オランジュリー美術館


オランジュリー美術館、モネの《睡蓮》のために作られた特別展示室

オルセー美術館に訪れたら、歩いてすぐのチュイルリー公園内にあるオランジュリー美術館にも行っておきたい。オランジュリーはその名の通り、「オレンジ用の温室」として、1852年にナポレオン3世によって建てられた。その後第1次世界大戦を経て1927年、フランス首相ジョルジュ・クレマンソーの手によって美術館へと生まれ変わった。

オランジュリーの見どころは、なんと言ってもモネの《睡蓮》のための特別展示室。計8点、高さ2メートル、幅約100メートルにもなる《睡蓮》が、2つの楕円形の展示室に360度パノラマで展示されている。

地下1階、2階は、美術収集家ジャン・ヴァルテールとポール・ギヨームが収集した近代絵画のコレクションが見られる展示室となっている。所蔵作家はルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、シスレー、ピカソ、マチスなど。代表的な作品としては、モディリアーニ《ポール・ギョームの肖像》、ルノワール《ピアノに寄る娘たち》他。フォーヴィスム(野獣派)創設者のひとり、アンドレ・ドランの作品が多数見られるのもオランジュリーの特徴である。


4. ポンピドゥー・センター


ポンピドゥー・センター Photo: Planet One Images/Universal Images Group via Getty Images

ポンピドゥー・センターは、フランスのポンピドゥー大統領(在任期間:1969-1974)の構想で実現したことからこの名がある。マレ地区のボーブールにあるため、「ボーブール」とも呼ばれる。センターは公共情報図書館(BPI)、国立音響音楽研究所(IRCAM)、そして欧州最大の近代美術館である国立近代美術館(MNAM)などで構成されている。

1977年の開館時には、構造的・機械的な要素をすべて外部に露出させた工業的なデザインが多くの議論を呼んだ。しかし、建築家のリチャード・ロジャース、スー・ロジャース、レンゾ・ピアノ、ジャンフランコ・フランキーニによる印象的な建物は、今ではパリの風景に欠かせない存在だ。2010年にフランスのメスに開館した分館は、坂茂とジャン・ド・ガスティーヌが設計した白い曲線的な建物で、こちらも地元のシンボルになっている。

ポンピドゥー・センターでは、12万点に上るパリとメスの所蔵作品から、アレクサンダー・カルダー、ルイーズ・ブルジョワ、ニキ・ド・サンファル、パブロ・ピカソ、アンゼルム・キーファー、シーラ・ヒックスなど、20世紀を代表する数多くの作家の展覧会を開催している。2015年にポンピドゥー・センター・マラガ、2019年にはポンピドゥー・センター×西岸美術館プロジェクト(上海)がオープンし、さらにブリュッセルやジャージーシティなど世界各地への進出が計画されている。


5. ブルス・ドゥ・コメルス


ブルス・ドゥ・コメルス 写真:ロイター/アフロ

ポンピドゥーから徒歩圏内の距離に2021年、新たな美術館が誕生した。Top 200 Collectorsにも選ばれ続けているフランスの大アートコレクターで、グッチやサンローランを傘下に収めるケリング会長兼CEO、フランソワ・ピノーが蒐集した現代アートコレクションを展示するブルス・ドゥ・コメルスだ。

ブルス・ドゥ・コメルス(Bourse de commerces)は先物取引所という意味。フランス王朝の宮殿跡地に1812年、円形のガラスドームが特徴的な貿易商品の取引所が建設され、商工会議所としても利用されてきた。その歴史的な建物の外装を生かしつつ、安藤忠雄が内装をモダンに一新させた。

1〜3階には10の展示室が設けられ、マウリツィオ・カテラン、ライアン・ガンダーなど名だたるアーティストの作品が並ぶコレクション展示のほか、現代アート作家の企画展が随時開催されている。館内にはミシェル・ブラスとその息子が手掛けるカフェとレストラン、最寄りにはオニオングラタンスープが名物のレストラン、オ・ピエ・ド・コション、流行りのブランド店が軒を連ねるショッピングモールもあるので、時間があれば寄ってみるのも良いだろう。


6. パリ市立近代美術館


パリ市立近代美術館 Photo: Michel Renaudeau/Gamma-Rapho via Getty Images

パリ市立近代美術館のある歴史建築は「パレ・ド・トーキョー」という名称で、旧ケ・ド・トキオ(現アベニュー・ド・ニューヨーク)に位置する。ジャン・クロード・ドンデルとアンドレ・オベールの設計により、パリ市立近代美術館と国立近代美術館を1つの建物に収容するために建てられた。現在ではパリ市立近代美術館のみがこの建物に残り、内側は無装飾、外側は神話をテーマにした装飾が施された象徴的な建物の西棟で運営されている。

1万点を超える近現代美術のコレクションには、パブロ・ピカソ、ラウル・デュフィ、アメデオ・モディリアーニ、アンドレ・ドラン、マルク・シャガール、クリスチャン・ボルタンスキー、フィリップ・パレーノなどの作品が並ぶ。また、アンリ・マティスの《ダンス》の最初のバージョンや、デュフィの壁画《電気の精》(作家自身が1954年に寄贈)など、サイトスペシフィックな作品も見どころの1つだ。2007年以降に取得した作品も800点を超え、ピーター・ドイグ、クリストファー・ウール、ダグラス・ゴードン、ジル・バルビエ、スターテヴァントなどの作品がある。今後も所蔵作品は増える予定だ。


7. ロマン派美術館


ロマン派美術館 Photo: Jarry/Tripelon/Gamma-Rapho via Getty Images

19世紀に作家や芸術家が集ったヌーベル・アテネ地区(当時あったカフェにちなんだ呼び名)にあるロマン派美術館は、1811年にパリに移住したオランダ系フランス人画家アリ・シェフェール(1795-1858)の旧宅を利用している。シェフェールと同時代のアーティストたちの作品は2階に展示され、1階には作家ジョルジュ・サンドに関する肖像画や家具、18〜19世紀の宝飾品などがある。

シェフェールが住んでいた当時、ここには同世代の画家ウジェーヌ・ドラクロワ、音楽家のフレデリック・ショパン、フランツ・リスト、ジョアキーノ・ロッシーニ、オペラ歌手のポーリーヌ・ヴィアルド、作家のイワン・ツルゲーネフやチャールズ・ディケンズなどが集まった。弟のアンリ・シェフェールとともに制作に使っていたアトリエは石畳の中庭に面していて、現在は企画展用のスペースになっている。庭の温室には雰囲気のいいカフェがあり、おいしいキッシュなどの軽食が楽しめる。


8. ギュスターヴ・モロー美術館


ギュスターヴ・モロー美術館 Photo: Thomas Samson/AFP via Getty Images

パリ9区のヌーベル・アテネ地区を代表するもう1人のアーティストは、象徴主義の画家ギュスターヴ・モロー(1826-1898)だ。1852年にモローの両親が購入したこの家は、1895年に建築家アルベール・ラフォンの協力で美術館に改築された。両親の生前、モローは2階部分(ダイニングルーム、寝室1室、書斎、廊下、事務所兼図書室)を共有していたという。モローのアトリエは当初は3階にあったが、後に最上階に移った。最上階へと続く美しいらせん階段は今も残っている。

モローは1897年、自宅を家具や作品とともに国に寄贈する意向を申し出て、4年後に受け入れられた。この美術館にはモローの絵画、水彩画、スケッチなど1300点と、デッサン約5000点が所蔵され、ギリシャ神話をモチーフにした《ユピテルとセメレ》(1895)、《キマイラ》(1884)、《アルゴー号乗組員の帰還》(1890-97)などが展示されている。


9. ジャックマール=アンドレ美術館


ジャックマール=アンドレ美術館 Photo: Franck Charel/Gamma-Rapho via Getty Images

パリ8区の宝石とも言えるジャックマール=アンドレ美術館は、収集家夫妻の邸宅だった建物にある。社交界で活躍していた画家のネリー・ジャックマール(1841-1912)が、あるとき銀行家のエドゥアール・アンドレ(1833-1894)の肖像画を描き、その10年後に2人は結婚。夫妻は毎年イタリアに行っては最高の美術品を持ち帰り、コレクションを充実させていった。アンドレが亡くなると、ジャックマールは自分たちの「イタリアの美術館」と呼んでいた邸宅の装飾を完成させ、芸術家としての視野を広げるためにアジアに旅立つ。亡き夫とともに立てた計画に従ってフランス学士院に遺贈された邸宅は、1913年に美術館として開館した。

現在も、美術館は当時のまま一般公開されている。エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン、ヴィットーレ・カルパッチョ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ、アンドレア・マンテーニャ、ジャン・オノレ・フラゴナール、サンドロ・ボッティチェリ、トマス・ゲインズバラの作品が、かつてと同じように飾られている様子を鑑賞できるのだ。1996年から美術館を管理している民間企業、キュルチュールエスパスは同美術館で多くの企画展を成功させ、趣のあるカフェを作った。カフェには、展示作家にちなんだメニューもある。


10. ギメ東洋美術館


ギメ東洋美術館 Photo: De Agostini via Getty Images

ギメ東洋美術館は、実業家エミール・ギメが、極東の宗教研究のために日本、中国、インドに派遣されてから3年後、1879年にリヨンで誕生。ギメが旅先から持ち帰った数多くの美術品は国に寄贈され、美術館は1889年にパリに移転した。今日のギメ東洋美術館(正式名称はギメ国立アジア美術館)は、ヨーロッパ最大のアジア美術のコレクションを所蔵している。

2001年に改装された明るく広々とした展示室には、インド、カンボジア、タイ、マレーシア、ベトナム、中国、パキスタン、ネパール、韓国、日本の美術品が集められ、アジアの宗教や哲学に関する書籍も所蔵されている。常設展示は5フロアにわたり、最上階にある円形のスペースでは、定期的に現代アーティストの企画展が行われている。これまで展覧会が開催された作家は、ダニエル・アーシャム、塩田千春、デュイ・アン・ニャン・ドゥック、ヤン・ジエチャンなど。


11. カルナヴァレ美術館


カルナヴァレ美術館 Photo: Chris L. Jones/Avalon/Universal Images Group via Getty Images

パリのすべてを知りたいと思うなら、必ず訪れたいのがパリとパリの歴史をテーマとするカルナヴァレ美術館だ。元は、パリでもとりわけ古い歴史を誇るマレ地区に建てられた美しい邸宅だった。設計はピエール・レスコとジャン・グジョンだが、2人がルーブル宮殿の建設に召集されたため、1560年頃にジャン・ブラントが完成させている。カルナヴァレという名称は、1572年以降の所有者、ケルヌヴノワ夫人の名を、パリの人々が間違って発音したことに由来する。

1866年にはパリ市が買い取り、美術館の開館に向けて所蔵する品を集め始めた。収集品は市の公文書とともに市庁舎の金庫に保管されていたが、市庁舎は1871年に革命派による放火を受けている。その後、再び所蔵品の収集が始まり、現在その数は62万5000点を超えるまでになった。一木を彫った先史時代の船から、ボードワン・ド・ソワソンと画家ジャン・ド・ブルージュのものとされるドルマン・ボーヴェ大学礼拝堂のステンドグラス、アントワーヌ・コワズヴォのルイ14世像、コルベール・ド・ビラセルフ邸書斎の17世紀の木製レリーフまで、幅広い展示品を見ることができる。


12. ロダン美術館


ロダン美術館 Photo: Yves Forestier/Sygma via Getty Images

ロダン美術館は、年間約70万人が訪れるパリで最も人気のあるスポットの1つ。その建物、オテル・ビロンはパリの代表的なロココ建築だ。近代彫刻の父と呼ばれるオーギュスト・ロダン(1840-1917)が20世紀初頭に活動の拠点とした場所で、現在はロダンの作品のほとんど(彫刻6600点、写真とデッサンがそれぞれ8000点、その他のゆかりの品7000点)が保管・公開されている。オテル・ビロンは1727年に建築家ジャン・オベールによって建てられ、一時期はルイ14世の義理の娘にあたるルイーズ・ベネディクト・ド・ブルボンが所有していた歴史を持つ。ロダンは、20世紀初めにアトリエとしてここを借りている。

ロダンは、オテル・ビロンが自らの作品を恒久的に所蔵・展示する美術館となることを条件に、コレクションを国に寄贈することを計画していたが、残念ながら実現の2年前に他界した。現在、敷地内の約3万平方メートルにおよぶ庭園には、ロダンの彫刻がそこかしこに配され、ロマンチックな雰囲気の中で散策ができる。2005年に修復された19世紀の礼拝堂は、企画展の会場に使われている。


13. ケ・ブランリー美術館


ケ・ブランリー美術館 Photo: Raphael Gaillarde/Gamma-Rapho via Getty Images

ケ・ブランリー美術館は、エッフェル塔に近いセーヌ川左岸にある。壁面に植物が繁る印象的なガラスと木の大型建築は、フランス人建築家ジャン・ヌーヴェルの設計だ。人類博物館と国立アフリカ・オセアニア美術館のコレクションを迎え入れ、2006年に開館した。所蔵品は、新石器時代(紀元前1万年頃)から21世紀までの美術品や装飾品など36万点、図像70万点、20万点を超える文献資料など。欧州以外の芸術や文明の研究・保存・振興を目的とした公立博物館としては、欧州で最も充実した内容だ。フランス文化省と高等教育・研究省による共同運営で、研究機関としての役割も担っている。


14. クリュニー中世美術館


クリュニー中世美術館 Photo: De Agostini via Getty Images

ソルボンヌ大学、パンテオン、リュクサンブール公園と並ぶカルチエ・ラタンの名所であるクリュニー中世美術館は、パリで最も古い歴史を誇る美術館の1つで、中世美術に特化したフランスで唯一の国立美術館でもある。1843年の創設以来最大となる意欲的な改造計画が近年実現し、古代ローマの温浴場やゴシック様式の礼拝堂が復元されたほか、受付、チケット売り場、カフェなども新しくなった。

新しく年代順に整理された展示は21室にわたり、所蔵品1600点を順次入れ替えて展示している。中でも見逃せないのが、ミルフルール(千花模様)が特徴的な6枚組のタペストリー《貴婦人と一角獣》だ。15世紀末にパリでデザインされ、フランドル地方で織られた可能性が高いという。そのうちの5枚は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を表現している。6枚目に折り込まれた「我が唯一の望みに」という言葉は、傑作の謎めいた魅力をさらに深めている。(翻訳:清水玲奈)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年10月7日に掲載されました。元記事はこちら

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