約1000年前のヴァイキングが身につけたバックル? キリスト教布教前のノルウェーで人気の動物モチーフ
ノルウェーで2021年に行われた考古学調査で出土した遺物から、約1000年前のヴァイキングの宝物が発見された。
ノルウェーのオスロ大学附属文化史博物館が3月に発表したニュースリリースによると、X線検査を行った土塊の中に金と青銅の遺物があることを確認。泥汚れを落としたところ、バックルまたはブローチと思われる複雑な金属製の宝飾品であることが判明した。
複雑にからみ合う曲線がいくつも連なるこの宝飾品は、動物をかたどっているように見える。蛇に囲まれたライオンという見方も、馬あるいはドラゴンという見方もあるが、いずれにしても粘土の型を使って大量に作られたものと考えられている。
誰がどのような目的でこれを身につけたのかは不明だが、その様式から西暦1000年頃に作られたものと推定される。キリスト教が広まる以前、今のノルウェーの地にいたヴァイキングの間で、こうした宝飾品が盛んに作られていたようだ。
スカンジナビア半島のヴァイキングは、西暦900年頃からキリスト教勢力によって改宗を迫られ、1050年頃にはキリスト教が支配的な宗教となった。ヴァイキング固有の文化では動物の意匠がよく見られるが、キリスト教ではより抽象的な装飾が好まれた。(翻訳:清水玲奈)
from ARTnews