ARTnewsJAPAN

セシリア&チュン=キウ "C.K." チャン(Cecilia and Chung-Kiu “C.K.” Cheung)

拠点:香港
職業:不動産(CC Land Holdings)
収集分野:近現代アート

フィンセント・ファン・ゴッホが、1890年に自分の作品を取り上げてくれた美術評論家宛てに書いた感謝の手紙は、長い間ゴッホ美術館が取得を望んでいた書簡だった。それをかなえたのが香港不動産業界の大物、チュン=キウ "C.K." チャンだ。チャン夫妻は2019年5月に、この書簡の販売価格である107,900ユーロ(約1500万円)を寄付している。

近現代アートの重要作品を所有するチャン夫妻のコレクションについてはほとんど情報がないが、2人は数多くの展覧会のスポンサーを務めている。たとえば、2018年にフィレンツェのウフィツィ美術館で開催された中国人アーティスト蔡國強(火薬など型破りな素材を使った作品で知られる)の大規模展や、2016年に香港文化博物館で開催されたモネ展「Claude Monet: The Spirit of Place」などだ。モネ展では、パリのオルセー美術館をはじめとした世界的美術館からの貸し出しのほか、夫妻のコレクションからも作品が展示された。

また、セシリアは2017年にサザビーズ香港で行われた個展「Sublimity」でアーティストデビューを果たしている。このとき展示された20点は、夫とともに世界中を旅した経験を生かした作品で、その売上は全て寄付された。

「C.K.」と呼ばれるチュン=キウは、1964年に重慶で生まれた。包装資材メーカー、ユガン・インターナショナルの創業者として29歳で会社のトップに立った彼は、最年少の上場企業会長として香港のビジネスエリートの間で有名になった。C.K.は、ユガン・インターナショナルのほか、不動産デベロッパーのCCランド・ホールディングスやYTリアルティ・グループの会長でもある。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。

あわせて読みたい