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  • 2023.05.19

今週末に見たいアートイベントTOP5: 世界的アーティストの日本初個展「マシュー・ストーン展」、未公開資料で横尾忠則の創作に迫る「銀座番外地」

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

松下真理子「すべて水に映る」(KEN NAKAHASHI)より、松下真理子《彼女は消えつつ存在し》2022年 Oil on canvas 194 × 162 cm © Mariko Matsushita 撮影: 齋藤裕也

1. I LOVE ART 17 プレイプレイアート展(ワタリウム美術館)

小谷元彦《Surf Angel(Provisional Monument 2) 》2022年 photo: Keisuke Hirai

小谷元彦による全長6メートルの彫刻は必見。150点の作品で創出するアートの遊び場

「アートの遊び場」がテーマの展覧会。同館のコレクションから、19人のアーティストの作品に加え、ゲストアーティストとして彫刻家・美術家の小谷元彦を迎える。古代ギリシャや上野公園などを題材に、広場の中の風景や人物に見立てた作品約150点を展示する。

中でも見どころは、小谷が2022年、石巻で開催された芸術祭「リボーンアート・フェスティバル2021-22」のために制作した全長6メートルになる天使像《Surf Angel(Provisional Monument 2)》。そして、1964年、ナムジュン・パイクが制作した世界初のアートロボット《K-456》の娘として生まれた《K-567》。ほか展示作家は、伊東忠太、ルネ・マグリット、アンディ・ウォーホル、ニキ・ド・サン=ファル、オノ・ヨーコ、ディヴィッド・ホックニー、堀尾貞治、ジョナサン・ボロフスキー、デイヴィッド・ハモンズ、 小沢剛など。

I LOVE ART 17 プレイプレイアート展
会期:3月19日(日)~7月23日(日)
会場: ワタリウム美術館(東京都渋谷区神宮前3-7-6)
時間:11:00 ~ 19:00 


2. 松下真理子「すべて水に映る」(KEN NAKAHASHI)

松下真理子《彼女は消えつつ存在し》2022年 Oil on canvas 194 × 162 cm © Mariko Matsushita 撮影: 齋藤裕也

人間とはなにかを追い求め、鮮烈なイメージで表現する松下真理子の近作を紹介

1980年生まれの松下真理子は、性的暴力からの治癒と理解のために書きはじめた無数の詩を出発点に、精神的な模索と「外付けの蛇口」を求め、芸術家を志す。2004年、京都市立芸術大学美術学部油画専攻を卒業。工場での労働の傍ら独自の絵画表現を再開し、ロンドンでのレジデンスでインド、ペルー、韓国、サウジアラビアなどの女性芸術家たちと親交を結び、ポーランドのアウシュヴィッツや、第2次大戦中に日本軍と地元女性との暗い歴史を残すフィリピンの「赤い家」などを取材し絵画を制作している。

本展は、松下が近年制作した大型のペインティングや、手製キャンバスのシリーズ「すべて水に映る」を紹介する。複雑で強烈なイメージは、私たちの痛ましい過去や、虚弱で消えゆく声を投影する。緊張感と直感が宿る松下の作品は、人間の声のこだまを見る者の心の中に響かせるだろう。

松下真理子「すべて水に映る」
会期:4月25日(火)~5月27日(土)
会場: KEN NAKAHASHI(東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル2号館 5階)
時間:11:00 ~ 18:00 


3. NEO PAINTING TOKYO 2・3(Akio Nagasawa Gallery Aoyama)

今関絵美《春の装い -口紅水仙-》 2022年 キャンバス、油彩 45.5×45.5cm

独自の技術と発想で制作するアーティストにフォーカス。計10作家を紹介

日本では1980年代以降、若者のカルチャーが変化し、アートとイラストレーションの境界線が曖昧になった。そして現在、イラストアートが高額で流通する現象が起こっている。

ヒロ杉山が2回に渡ってキュレーションする本展では、その華やかな動きとは相反して、独自の技術と発想により絵画を制作する作家に注目した。出品作家は次の通り。(2)今関絵美、⾓⽥⿇有、川元陽⼦、張霆(チョウテイ)、⻑⾕川雅⼦ (3)坂⼝隼⼈、吉村宗浩、⾕⽥⼀郎、ヒロ杉⼭、本⽥誠。

NEO PAINTING TOKYO 2・3
会期:(2)5月11日(木)~6月3日(土)、(3)6月8日(木)~7月1日(土)
会場: Akio Nagasawa Gallery Aoyama(東京都港区南青山5-12-3 Noirビル2F)
時間:11:00 ~ 19:00(13:00 ~ 14:00閉廊) 


4.マシュー・ストーン「Human in the Loop」(Gallery COMMON)

Matthew Stone. 2023. Digital print on linen. h200 × w320cm. Courtesy of the artist and Gallery COMMON.

世界的アーティスト、マシュー・ストーンの日本初個展。AI技術に挑戦した新作を発表

イギリスのワイ・バレーを拠点に活動するアーティスト、マシュー・ストーン。アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ、ロイヤル・アカデミー、サーペンタイン、テート・ブリテンなど、世界各地の展覧会やプロジェクトに参加するなど、高い評価を得ている。

日本初の個展となる本展は、アナログとデジタルの技法、そしてAIによる画像処理を組み合わせた絵画シリーズの新作を発表する。昨今取り沙汰されるAIという革新的なテクノロジーについて、ストーンは、「AIを拒絶するのではなく、むしろAIを用いることによって人間らしさを実現することができる。私たちはそう信じなければならない」と語る。彼のテクノロジーに対する楽観的なアプローチは、テクノロジーを人と人とのつながりのために使うことを勧め、そして、真の創造力は道具ではなく、それを使いこなす人の手の側にあるのだと教えてくれる。

マシュー・ストーン 「Human in the Loop」
会期:5月13日(土)~6月11日(日)
会場: Gallery COMMON(東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F)
時間:11:00 ~ 19:00 


5. 横尾忠則「銀座番外地」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)

250点の未公開資料で横尾忠則のデザイン表現のプロセスに迫る

今年、横尾忠則が日本芸術院に新設された「建築・デザイン」分野の会員に選出された。本展は、今回の選出理由「文学、演劇、音楽、映画、ファッション等、様々な分野に活動の場を拡げた 43 年前のデザイン」(1960~80 年代)に焦点を当てた。

横尾忠則現代美術館に保管されている1万8000点余におよぶ未公開資料の中から250点を厳選。作品を構成するラフスケッチ、アイデアノート、デッサン、原画のほか、版画やポスターを仕上げるための版下、色指定紙など、作品完成以前の膨大な「デザイン表現のプロセス」を展示する。見る人は横尾の手のぬくもりを感じ、肉体的な感覚を覚えるだろう。

横尾忠則 「銀座番外地」
会期:5月15日(月)~6月30日(金)
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京都中央区銀座 7-7-2 DNP 銀座ビル 1F・B1F)
時間:11:00 ~ 19:00 

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