ビクター・マー(Victor Ma)
拠点:台湾・台北
職業:金融業(元大金融控股)
収集分野:20世紀のアジア美術
台湾が国際的なアート界への仲間入りを果たしたのは、ビクター・マーのようなベテランコレクターの力によるところが大きい。ユアンタ・フィナンシャル・ホールディングス(元大金融控股)の取締役を務めるマーは、中国の大物画家による数多くの作品に加え、ブライアン・ハントやキース・ヘリングなど、欧米の現代アートもコレクションしている。
2013年に93歳で亡くなって以来、オークション市場での需要が急激に高まっている中国系フランス人画家、ザオ・ウーキーも、マーが熱心に収集しているアーティストの1人だ。2019年にザオは、アジアのオークションで最高額となる2億3700万ドル(約344億円)の売上を記録。その作品のファンには、同じ台湾のコレクターで、トップ200コレクターズの1人でもあるピエール・チェン(ヤゲオ・コーポレーション創業者)や、富邦フィナンシャル・グループ創業家のリチャード&マギー・ツァイなどがいる。
マーはまた、「世界の四輪駆動車王」と呼ばれるほどのオフロード車好きとしても知られる。2017年の自動車メディアJalopnikによる調査では、メルセデスGワゴンが数台、ジープCJ-7、トヨタランドクルーザーJ50、第2次世界大戦中のフォードGPW、そして非常に珍しいシュタイア・プフ・ハフリンガーを所有していることが分かったという。アートコレクションについてはほとんど明らかにしないが車のことなら饒舌になるマーは、エンジンのピストンリングや車のサスペンションを自ら交換したり、セネガルの砂丘を走るオフロード耐久レース「ダカールラリー」に出場するほか、『4x4バイブル』という著作まである。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。