ベラルーシのアーティストが獄中で死亡。「ルカシェンコ政権の悲劇的な犠牲者」
7月11日、ベラルーシの強権的な大統領アレクサンドル・ルカシェンコをたびたび批判していた、ベラルーシのアーティストで政治活動家のアレス・プーシキンが獄中で死亡したとAP通信が報じた。
ベラルーシの首都ミンスクにあるヴィアスナ人権センターによれば、57歳のプーシキンの健康状態は良好であったという。しかし、彼の妻、ジャニナ・デムチはAP通信に対し、「状況不明のまま刑務所の集中治療室で死亡した」と語った。
プーシキンは2021年3月、ルカシェンコの再当選に関する不正疑惑についての、大規模な抗議行動に参加し逮捕された。彼は第2次世界大戦中にナチスに協力したベラルーシの民族主義者を、ある展覧会のために描いており、憎悪の扇動と「国家シンボルの冒涜」の罪で5年の実刑判決を受けた。プーシキンは判決公判の間、抗議のために裸になり、独房に13日間収監された。その後、ベラルーシ西部のグロドノ刑務所に送られている。
2021年の抗議デモではジャーナリストを含む3万5000人以上が逮捕され、治安部隊はデモ参加者を残忍に攻撃し、複数のNGOや監視機関を閉鎖した。
プーシキンの実刑判決はこれが初めてではない。1999年、プーシキンはミンスクにあるルカシェンコ大統領府の入り口で、糞を満載した一輪車をひっくり返したパフォーマンス作品《大統領のための糞》を発表したとして2年間服役している。
「プーシキンがルカシェンコ政権の悲劇的な犠牲者の1人になったことは明らかです」と亡命野党指導者のスヴィアトラーナ・ツィカヌースカヤはAP通信に語った。「何千人もの人たちが、民主化デモに参加したり、ウクライナを支持したり、あるいは単に自分の信念を表明したという理由で、ベラルーシの刑務所で苦しめられているのです」(翻訳:編集部)
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