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ペッチ・オーサターヌクロ(Petch Osathanugrah)

拠点:タイ・バンコク
職業:飲料製造販売(Osotspa)、教育(バンコク大学)
収集分野:現代アート

タイのアートコレクター、ペッチ・オーサターヌクロは、同族経営の飲料会社オソサファを父から受け継いだ。1891年創業のこの伝説的ブランドは、SHARK Cool BiteやM-150といったタイを代表するエナジードリンクを製造している。しかし、その事業手腕以上に、ペッチはCEOらしからぬ長髪とエキセントリックなファッションで知られている。

彼はまた、父から一大アートコレクションも相続しており、バンコクに約1万2000平方メートルの広さを持つ現代美術館を開設する計画を進めている。この美術館では、企画展や彼が30年以上にわたって収集した作品の展示が行われる。所有作品には、モンティエン・ブンマーなどタイのアーティストをはじめ、パブロ・ピカソ、デヴィッド・サーレ、ダミアン・ハーストのような欧米の大物アーティストが名を連ねている。

「タイの現代アートは、国際的なアート界の一角を占めるまでになっています。私がコレクションするのは、国際的に評価された、あるいはそうなる可能性のある作品です」と、ペッチはタイのメディアで説明している。「タイのアーティストは、2、3人の例外を除いては、アジアや東南アジアのアートに特化したギャラリーに所属しています。私が設立する美術館は、こうした状況を変え、タイの現代アートをさらに国際的なものにする試みでもあります。2023年に一般公開される予定のこの美術館は、タイ最大級のアートスペースになります」。ペッチはまた、2018年のインタビューでこう語っている。「私にとってアートとは、今この瞬間を深く考察し、経験するためのものであり、俗世間的で浅薄な投機や投資のためのものではありません。アートは、思考の限界の先に私たちを連れていってくれるのです」

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