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アングロ・サクソン人の墓所で「今年最も大きな発見」。発掘したのは退役軍人と考古学者の共同チーム

イギリス南部ソールズベリー平原にある軍の演習場で、「今年出土した中で最も価値ある墓」が見つかった。発掘を行ったのは、退役軍人と考古学研究者で編成されたチームだ。

2023年にイギリスのエイボンキャンプにある墓所で発掘された骨と鹿角でできた櫛。Photo: Copyright Crown

エイボンキャンプの演習場に約70あるアングロ・サクソン人の墓の大半は、7世紀頃のものと見られる。そこで約1400年前の大きな骨や鹿角でできた櫛、鉄製の鋏が発見された。

この遺跡発掘作業は、退役軍人の支援を目的とした「ナイチンゲール作戦」の一環として行われている。また、今回の調査チームには、陸軍遺族協会に所属する寡婦や寡夫も加わった。

イギリス国防省のアンドリュー・マリソン政務次官は声明で、「発掘は、傷病兵や退役軍人の健康・福祉増進のために行われ、高く評価されているプログラムの一部です」と述べた。

また、考古学研究者を率いるリチャード・オスグッドはこう説明する。

「この遺跡のおかげで、7世紀にこの土地に住んでいた人々がどのような生活をしていたかを理解することができます。また、危機遺産登録の候補になっているこの場所からは、歴史的に貴重な情報を入手できるだけでなく、遺物管理に関する情報を提供することで、遺跡保存と演習場のニーズのバランスを取ることが可能になります」

2021年と2022年に行われた過去2回の発掘調査では、ローマ時代のコイン、青銅と銀の円盤、ガラスビーズでできたネックレスなどの遺物が出土した。また、22の墓でおよそ26の埋葬があったことが分かっている。なお、発掘調査は今回で最後になるという。(翻訳:石井佳子)

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