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全長500メートルの洞窟で旧石器時代の壁画を発見! 粘土で描かれた多様な絵は「非常に珍しい」

スペイン東部バレンシア州のコバ・ドネス(ドネス洞窟)で、100点を超える壁画や彫り込みを考古学研究者たちが確認した。2万4000年以上前の旧石器時代のものと見られる。

コバ・ドネス洞窟の内部画像:a) オーロックス(野生牛)の頭部、b) 馬の頭部、c) 動物や何らかのシンボルなど複数のモチーフが粘土で描かれた部分。Photo: Courtesy Aitor Ruiz-Redondo / Virginia Barciela / Ximo Mart

壁画が発見されたのは、長さ約500メートルにおよぶ広大な洞窟。以前からハイカーや地元の人々がよく訪れていた場所だが、スペインのサラゴサ大学とアリカンテ大学、そしてイギリスのサウサンプトン大学の考古学研究者による共同調査で旧石器時代の遺跡が見つかったのは2021年6月のことだった。その研究結果が先月、学術誌「Antiquity」で発表された。

スペインでは、有名なアルタミラ洞窟など旧石器時代の洞窟壁画が数多く見つかっているが、そのほとんどが北部に集中しており、イベリア半島東部にあるものは少ない。

洞窟の調査が進むにつれて判明したのは、その規模の大きさだ。また、内部の壁には、さまざまな技法で描かれた100種類以上の図案が残されていた。モチーフの多さは2015年にスペイン北部で発見されたアチュラ洞窟に匹敵するもので、その多様さから東部地域で最も重要性の高い旧石器時代の洞窟壁画と考えられる。

コバ・ドネスで新たに発見された壁画のモチーフは、雌鹿や馬、オーロックス(野生牛)、鹿など。その大半が粘土を使って描かれている点が他の洞窟壁画とは異なり、非常に珍しいものとされている。研究者たちは今後数年にわたり、洞窟内のさらに多くの場所で調査を続ける予定。(翻訳:石井佳子)

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